国土交通省大和川河川事務所
情報室(大阪府藤井寺市)

大和川を豪雨が襲う!?
その時に備えて
〜最近の気象状況と大和川の安全〜
2008年10月11日放送

味覚の秋を満喫すべく、農業の盛んな地域に出掛けて収穫体験を楽しむ人が増えています。でも、広い田園地帯で突然雷が鳴るのは怖いものです。今年は雷が鳴った土砂降りが多かったように思いますし、ゲリラ豪雨という言葉や、浸水被害とか水の事故とかいったニュースにもよく接しました。実際に激しい雨は増える傾向にあるのでしょうか。だとしたら、私たちはどうしたらいいのでしょうか。

 

激しい雨は増えている?

 最近よく使われる「ゲリラ豪雨」とは、どういう雨なのでしょう。まずは日本気象協会の気象予報士、中島保則さんを訪ね、お話を伺いました。
中島 局地的に短時間で降る激しい雨のことだと思いますが、正式な気象用語ではなくマスコミが作った言葉です。気象庁では大雨と表現しています。

 今年、テレビの速報で見た「記録的短時間大雨情報」というのも刺激的でした。
中島 これは気象庁が平成6年から使っている正式な気象情報です。大雨警報が出ているのが前提で、数年に1回しか降らない大雨が降った時に使います。地域によって違いますが、大阪などは1時間に100mm以上降ると発表されます。出るのは数年に1度ぐらいですが、大阪府では今年、岸和田市で出ています。

 統計的に見て、激しい雨は増えているのでしょうか。
中島 多い年、少ない年はありますけど、ここ30年ぐらいの傾向で見れば、徐々に降る回数は増えていると言えます。雷を含んだ雨は、今年6月〜8月で12日ありましたが、昨年が10日、平均値で8日ぐらいです。入道雲は兵庫県の日本海側と瀬戸内側の真ん中あたりと紀伊半島の2カ所が主な発生源ですが、それが大阪へ移動することは少ない。でも、今年は気圧配置が例年と少し違ったため、例年より多かったと思います。

 大雨に対して、私たちはどんなふうに気をつけたらいいのでしょうか。
中島 まずは気象情報を聞いていただく。そして、予報に対して実際どうなったかを空を見たりしてつかむことです。空を見て暗くなったらただごとではありません。川なら、急に水が冷たくなったら上流で雨が結構降っていると考えてください。川の水より雨の方が冷たいからです。また、急に水量が減ってきたら、上流で土砂崩れが起きせき止められているかも知れません。それが崩れた時に一気に土石流がやってきます。自分は大丈夫と思い込まず、早めに対策を取ることが大事です。

大和川の安全を担う情報室

 大和川は大雨に対して、どのような備えをしているのでしょうか。今度は国土交通省大和川河川事務所の情報室を訪ね、川端敬司さんにお話を伺いました
川端 この部屋は、気象や水位など大和川に関する色々な情報が集まってくる部屋です。

 大きなモニターが並んでいます。一つずつ説明していただきました。
川端 これは亀の瀬の地すべり監視システムです。地表面と地中に観測機器を設置し、地盤の動きや地下水位を観測していて、そのデータが送られてきます。

 次はレーダー雨量端末機と書いてあります。
川端 どこでどれぐらいの雨が降っているかを表示しています。全国にある国土交通省のレーダーが観測したデータを合成し、映し出しています。これにより、大和川流域には何時間後にどれぐらいの雨が降るか、大まかに予想できます。

 雨量表と書いてあるモニターもあります。
川端 河川情報システムと言い、大和川の色々な地点で観測している水位や雨量などのデータが電波で送られてきて、これに表示されます。今は10分ごとの数値ですが、30分ごとや1時間ごとのデータに変えることができ、長時間の傾向なども読み取ることが可能です。

 もう一つ、モニターがありました。
川端 樋門監視装置です。大和川本川と支川の合流点に樋門が設置されている所があり、普段は開いていますが、大和川の水位が高くなると、水位の低い支川に水が逆流してはんらんしないよう、ゲートを閉じます。

 最後は洪水時の対応について伺いました。
川端 まず、大和川の水位が一定以上になると防災体制を立ち上げ、以後、水防警報を発表したり、洪水予報を気象台と共同発表したりしています。また、大和川の直接監視や樋門の操作もしています。防災体制を立ち上げていなくても、大雨注意報や警報が出た時は、休日や深夜でもこの部屋に集まって監視しています。

 

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中島さん

川端さん

自然を楽しむのに最適な季節ですが、自然には急な天気の変化も付きもの。そんな時、ちょっとした知識があるだけで行動が変わってくることが今日は分かりました。また、大和川河川事務所の情報室でたくさんの機械の説明を受け、安心することもできました。ハザードマップの用意も、安心の助けとなることでしょう。