阪南大学前
(大阪府松原市)

浸水時の怖さを実感
「まるごとまちごとハザードマップ」
〜松原市に登場した大阪府下初の標識〜
2008年9月6日放送

9月は台風など災害に注意が必要な時期。1960年からは9月1日が「防災の日」となっています。そこで今回は防災に目を向けることにし、松原市に来ました。北部を流れる大和川は、今日も穏やかに流れています。さて、ここ松原市では、大阪府の他の都市に先駆け、「まるごとまちごとハザードマップ」という取り組みが行われています。どんな取り組みなのか、市街地へ行って探ることにします。

見慣れない標識の正体

阪南大前の標識

 天美東地区の阪南大学正門前にある標識は、高さ3m近いポールに大きさの違う標識が三つ付いています。大人の目の高さぐらいに「阪南大学」などと書かれた一番大きな標識、そのすぐ下に「想定浸水深」などと書かれた横長の標識、そして一番上には2・5mの文字と太いラインが書かれた標識があります。松原市市民安全課の芝池克彦さんにお話を伺いました。
芝池 洪水時に安全でスムーズに避難していただくため、平成19年4月に「総合防災マップ」を全戸配布しましたが、そこに示している避難所や浸水想定深について、(町の中に)統一した図記号で表す「まるごとまちごとハザードマップ」として、同時期に市内4カ所に設置した標識です。平成18年度に国土交通省が作成した「安全安心のためのソフト推進大綱」に基づき、本市が大阪府下で初めて設置しました。

 ここは2m50cmの高さまで浸水するようです。

芝池 200年に1度の豪雨、もしくは石川合流点下流で2日間に総雨量280mmの降雨となり、堤防が切れた場合にこれぐらい水が来るという意味です。一番上の標識は、実際の2m50cmを表しています。また、真ん中の標識はこの地域の避難場所を示しており、その下は表示内容の説明板です。

 記号も色々と付いています。
芝池 真ん中の標識は、以前から設置していた本市独自の避難看板に代わり、「まるごとまちごとハザードマップ」のガイドラインに基づいて国土交通省と協議し、このような標識にしました。平成19年1月に改正されたJIS工業規格で案内用として定められた全国統一の記号が使われていて、今後、浸水に関してはこうした案内板で全国に設置されると思います。

 設置した4カ所は、どのように選んだのでしょう。
芝池 大和川の浸水区域からまず13カ所に絞り、その中から最も人通りの多い所を選びました。他に、天美東駅前公園、天美西の大阪府営住宅前、恵我地区の小川4丁目に設置しています。

 

日ごろからの備えが大切

 新しい標識により、市民にはどんなことを知ってもらいたいのでしょう。
芝池 予想される浸水の高さを見て実感してもらうことと、この地域の避難所はここですよということです。また、ご家庭に配布した総合防災マップでも確認をしていただければと思っています。

 松原市の洪水ハザードマップは、総合防災マップと呼ばれています。
芝池 以前の防災マップをリニューアルした時、洪水だけでなく、A4サイズ4枚分の表面に地震や避難所の情報、防災行政無線の位置などを載せました。裏面は大和川と東除(ひがしよけ)川の浸水想定区域図で、大和川は国土交通省から、東除川は大阪府河川室から頂いたデータにより作製しています。なお、市内には西除川も流れていますが、昭和57年に起きた大水害の後に市域内の西除川は全面改修が終わっているため、対象となっていません。

 これから台風シーズン。市民の皆さんには、どんな準備が望まれるのでしょう。
芝池 災害時の備えとして、日ごろから非常持ち出し品や非常時の備蓄品の準備をしていただき、避難場所への道順確認や家族の連絡方法などを家族全員で話し合って確認していただきたいと思います。

 その他にも、松原市は色々と防災の取り組みを行っています。
芝池 平成17年に国の防災計画が改定され、大阪府下の市町村が地域防災計画の見直しをしました。本市においても、地域防災計画を見直し、総合防災マップの作製や防災拠点の見直しを行いました。防災備蓄センターも建築し、避難所となる小学校15校と中学校7校の耐震化を進めて、現在までに約60%が終わっています。平成22年ぐらいには、すべてが終わります。これは、市長の政策としてかなり以前から取り組んでいることです。また、自主防災組織の育成など、誰もが安全で安心して暮らせる都市の実現を目指しています。

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芝池さんと

今回は松原市の防災対策について色々と伺いました。大阪府下で初めてという標識は一目で浸水時の水の高さが分かり、とても危機感が持てました。市民にはこうした市の取り組みを十分に知ってもらい、生活に生かしていただきたいものです。皆さんも、国や自治体の取り組みを最大限に生かし、災害に備えてください。