大和川(奈良県河合町)

釣りを通じて知る
川の環境、魚の気持ち
〜キッズリポーターと大和川で釣り体験〜
2008年7月19日放送

今日から始まる3連休の最終日である海の日が、今年から「奈良県山の日・川の日」となりました。海のない奈良県において、身近な自然であり歴史や文化の源でもある山と川に、もう一度目を向けてもらおうというわけです。今回は、そんな奈良県の大和川で釣りにチャレンジします。3人のキッズリポーター、仲川佳那(小6)さん、太田あすか(小6)さん、弟の隆晴(小3)君も一緒です。

引いた!掛かったのは?

 御幸大橋から西へ約400m。橋より東では、富雄川や曽我川、飛鳥川などの支流が大和川に合流しています。「NPO法人釣り文化協会」の辻哲男さんと近藤幹雄さんが、ここを選んでくれました。
辻 支流がたくさん合流している地点は比較的水の容存酸素量が多く、こういった瀬があるところは、魚が餌を求めてすみつきやすいので選びました。

 ここにはどんな魚がいるのでしょう。
近藤 見渡したところ、おそらくコイが中心かと思います。ウがたくさんすみついているため、小魚はおおむね捕食され、残っているは大型のコイが中心じゃないかと思います。ウナギやナマズもいるかもしれませんが、今日釣れるのはコイぐらいかな。

 では、いよいよ釣りのスタートです。
辻 まず、ねり餌をピンポン球程度に丸め、仕掛けの真ん中に付けます。さおは、ちょっと曲がっている状態で持ちます。(糸が)垂れていると当たりがあっても分からない。引っ張り過ぎたら魚が気付いて逃げてしまう。軽く引っ張って。


あすかさんのさおに掛かった亀

 釣れそうな感じはしているのでしょうか。
隆晴 分からん。
あすか うわ、気持ち悪い。

 あすかさんのさおに10cm強の亀が掛かりました。子供たちが少し釣りに親しんできたようです。
 魚離れが言われて久しいのですが、手軽な釣りでコアジやコイワシが釣れ、持って帰って家族そろって食べる。それはコミュニケーション面でもいいし、健全な遊びではないかと思っております。
近藤 子供に自然のフィールドに出てもらい、太陽の下で十二分に自然を満喫してほしい。最近はテレビゲームやパソコンに終始しがちですが、小さい時からフィールドに親しみ、自然に対する疑問を持ってほしい。なんでこんなにごみがあるの?こんな水の色なの?といったようなことに興味を持ち、それをどうしていったらいいのかを考えてくれたら。

 

川に触れて感じ、考えてほしい

 近藤さんに川での思い出を伺いました。
近藤 初めてさおを握ったのは5歳。目の前の吉井川(岡山県)が遊び場で、小さい時から魚を追いかけていました。ほとんどの子供が山や川や海で遊びました。大阪に出てきた昭和40年ごろ、大和川は下流域の松原や藤井寺のあたりでもまだ泳げ、そこらに手を突っ込めばフナなんかも捕まえられました。その後、住宅開発が進んで生活排水が流れ込み、洗剤の泡が盛り上がって風で飛んでいくような状態になりました。最近は河川清掃や生活排水の改善、浄化装置のお陰で、幾分は奇麗になってきていますが、まだまだです。大和川には、アユが上流部にまで上がって釣りが楽しめる川に戻ってほしい。昔から日本には「水に流す」という言葉がありますが、汚れた水やごみは川に流してほしくない。

 ところで、NPO法人釣り文化協会は、どんな活動をしているのでしょう。
辻 水産庁が認可した全日本釣り団体協議会のインストラクターを中心に組織されている団体です。大阪南港魚つり園で釣りを指導したり、大阪湾岸で水質調査をして皆さんに水質浄化を呼びかけたりしています。水質検査を通じて汚れていることを認識し、奇麗になっていく過程を見守っていくことが、子供たちをも巻き込んだ将来に向けての環境保全につながっていくものと思います。

 釣り人は、川の環境に敏感です。
 ここ何年間か、かなり奇麗になったと思います。十数年前からは、大和川にアユが遡上(そじょう)しています。私がよく行く大和川河口の渡船乗り場の台船から、4〜5cmのアユが上がっていく姿を何回も見ています。この辺の河原でも、アユやオイカワ、コブナ、モロコなどが復活してくれたらいいと思います。

 子供たちが川に親しむのも大切とのこと。
 汚い川ですが、もっと利用し、どこが汚いのか、なぜ汚いのか、目で見、肌で感じてもらうのがいいことやと思います。

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3人のキッズと
辻さん(後列右)、近藤さん

釣りをしながら、川の中の様子を想像したり、じっと周りの景色を眺めたりすることで、改めて川を取り巻く環境や周りの状態などを肌で感じることができました。自然から学ぶことは、やはりたくさんあります。皆さんも大和川にお出かけになったら、魚の視点で川の環境について考えてみてはいかがでしょうか。