大和川

大和川に育てたい
エコの芽とアシの芽
〜「エコウェーブ堺」の活動〜
2008年2月16日放送

堺市北区常磐町を流れる大和川。水は寒そうな色をしていますが、土手には意外にも緑の草がびっしりと生えています。この場所は、10年以上も堺で清掃活動を続けている「エコウェーブ堺」代表の西川雅規(まさかず)さんが、あることにチャレンジしている場所です。エコウェーブという名前に込められた思いや、10年以上も続いているパワーの秘密などを含め、じっくりとお話を伺いました。

10年でもまだ駆け出し

 まずは、10年以上続いている清掃活動の内容から。
西川 毎月第2日曜日の朝10時から約1時間、JR浅香駅付近と阪堺線大和川駅付近を、月ごとに交互に清掃しています。ただし、3月は大和川・石川クリーン作戦に合わせ、第1日曜日にする時もあります。集まるのは平均で10〜15人ぐらい。子供さんも結構来てくれ、小学生のころから参加してくれていた子が、今度、大学受験。そんな成長する姿も楽しみです。

 どれぐらいのごみが出るのでしょう。
西川 1人が1時間に拾える量は大体決まっていて、90リットル用の大きなごみ袋に半分から6割ぐらい入れて2袋です。それを狭い範囲で拾えるか広い範囲で拾うかであり、広い範囲ならごみが減ったことになります。最近は、少し多く歩いているかなという気がし、また、不法投棄も減りました。10年前は、毎回、家電製品などのごみ山を整理することから始めました。

 清掃活動は、どのように始まったのでしょう。
西川 約11年前、堺の市議会議員が友達と2人で始め、それを聞きつけた市民活動グループなどが、一緒にしようとエコウェーブ堺を発足し、毎月やるようになったと聞いています。私は、地元の青年会議所で環境問題を扱う委員会にいた10年ぐらい前、協働しようと色々な市民活動の団体やグループを訪ねていました。その中にエコウェーブ堺があり、話をした結果、ごみ拾いをすることになりました。

 どんな思いで、10年続けてきたのでしょう。
西川 今している活動が、その地域で定着し、地元の人たちが担ってくれるようになれば、僕らは別の場所に行って、また種をまく。そして、芽が出て地域に根ざしていくという繰り返しで、色々な所に波紋が広がればいいなという思いがあり、エコウェーブという名前を付けています。ただ、10年といっても月1回なので、まだ120回。駆け出しです。本当の意味で川がよみがえるには、毎日続けても、最低1年や2年はかかるので、500回、1000回はしなければ。


西川さんと

アシ原にせせらぎを夢見て

 1月5日の放送で紹介した大和川釣りクラブの皆さんと、この大和川で出会いがあったそうです。
西川 去年2月、JR浅香駅付近を掃除していると、ごみを拾ってためてあるような形跡があり、河原で読書していた人に訪ねたところ、釣り人が掃除していることを知り、そこに、たまたま大和川釣りクラブの方が来られ、「僕らがやってるんや」という話になりました。一昨年ぐらいから、そんな仲間が増えています。

 お話を伺っているこの場所で、西川さんが取り組んでいることがあります。
西川 アシを川に植え、育てています。一昨年もJR浅香駅の近所で植えましたが、失敗しました。一つは土手に植え、順調に伸びたのですが、草刈りの時に一緒に刈っていただいたみたいで(笑)。もう一つは川の中に植えたのですが、増水時に根こそぎ流されました。繰り返しすることが大事なので、場所を変え、2度目の挑戦をこの場所でしています。


アシの状態をチェック

どこから持ってきたアシなのでしょう。
西川 上流の石川につながるため池で、去年の春に新芽を分けていただきました。1カ所に大体2本ずつ、19カ所に挿して成長を見守っていますが、最初、すぐに1・5〜2mぐらいに伸びたものの、群落になってないので、風や水で倒されたりしました。でも、根っこが残っているので、春にまた新しい目が出て株を作ります。全部残っていれば19株なんですが、今見ていると5〜6株ぐらいです。10年ぐらい先に、アシ原やせせらぎが出来ればと密かに思っています。

 最後に、将来的に大和川に望むところを伺いました。
西川 まだまだ流域住民の意識に、「一気に行こうよ」というような思いがないと思います。成功しているところは、町ぐるみで、色々な団体やグループがスクラムを組んでうまくやっています。大和川でも、上流や中流の人などと手を携え、交流しながら奇麗にしていきたい。一度汚れたらだめだとあきめず、僕らが生きているうちに、何とかよみがえらせたい。

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大和川に出かけると必ず目にするごみ。それを10年以上も拾い続けている方々を、すごいなあとか、ありがたいなあとか思うだけではなく、一人一人がもっと真剣に関わっていかなければいけないと、エコウェーブ堺の活動を取材して感じました。関わることで、大和川はいいように変わっていけるはずです。