竜田川
対岸の建物は「プリズムへぐり」

竜田川は平群町のシンボル河川
「命の水」を後世に残したい
〜「竜田川ネット」の活動〜
2008年2月2日放送

奈良県平群(へぐり)町を流れる大和川支流竜田川。町の保健福祉施設「プリズムへぐり」が建ち、竜田川に支流の井文字(いもんじ)川が合流する辺りは、両岸がコンクリート張り。上部には土があって草が生えていますが、よく手入れされています。ここは「竜田川ネット」の活動場所の一つ。日ごろから清掃活動などをしている竜田川ネット。今回は、代表の境田正弘さんにお話を伺いました。

竜田川に100 本の桜を植樹

 竜田川ネットは、今月からこの場所で新しいことを始めるとのこと。まずは、この点について。
境田 昨年から「竜田川ふれあいロード」という事業を進めていて、年末までに30人の“里親”を集め、この2月16日に竜田川沿いで桜の植樹をスタートさせます。桜を植えるには、苗木を買うなど諸費用がかかり、世話もしなければいけません。桜を養子に見立て、世話をしていただける方を募集し、里親募金として1人1万円をいただいて里親になってもらっています。

 植樹場所は、どこなのでしょう。
境田 ここ「プリズムへぐり」前の竜田川に11本、上流方面の西向地区に19本、合計30本植樹します。大風呂じゃないんですが、あと約2年で合わせて100本植える予定です。

 竜田川ネットは、いつごろ活動を始めたのでしょう。
境田 奈良市の秋篠川で植樹をしているグループの講演会が、平群町のボランティア組織「地球くらぶ」の主催で2005年10月に行われ、参加者の中の7〜8人から、平群町でも似たようなことをやってみたらという意見が出て、06年1月26日に竜田川ネットを立ち上げました。最初にしたのは、会員全員か平群町内の一番上流から下流までを半日かけて歩いて、竜田川の今の環境を自分の目と足で確認することです。「馬鍬(まぐわ)淵」や昔ながらの「勧請(かんじょう)縄」という魔よけのような縄を架けている所など、本当に素晴らしい景観があり、平群町に25年ほど住んでいる私も、こうしたものを初めて見て、なんとかこの景観を維持せなあかんなあと、その時に改めて思いました。

 今回の桜の植樹は、ある大きな構想に歩調を合わせて行う事業とのことです。
境田 平群町のシンボル河川である竜田川を核とした「竜田川まほろば遊歩道整備構想」という町の事業計画が、私たちの事業と大体同時期に発表されました。その整備構想の色々な会合にも参画したので、官民協働という形でこの竜田川の環境整備をやっていきます。

 

さまざまな事業に積極参加

 桜の植樹が決まるまでに、苦労もあったようです。
境田 川沿いに植樹をするためには、奈良県郡山土木事務所の許可が必要ですが、それには地元自治会の賛同が前提となります。桜には虫が付くため、どうしても嫌われる方がおられるからです。最初は1カ所、断られました。せっかく植えるなら、みんなに喜んでいただきたいと思い、その辺が一番苦労しました。また、里親募金が30本分集まるかという不安もありました。

 植樹後の手入れは、どのようにするのでしょう。
境田 竜田川ネットは毎月第3土曜日に例会をしていますが、その日の午前中に、里親の方と一緒に植樹した2カ所の清掃と世話をする予定です。

 竜田川ネットは、他にも色々な活動をしています。
境田 昨年からプリズムへぐり前の竜田川の法(のり)面のところに、町がテストケースとしてコスモスを植えています。6月の種まきやその後の草刈りを、竜田川ネットが主体で行ったのですが、立派なコスモスが咲いて住民の方からも好評でした。今年も継続する予定です。以前から行っているごみ拾いの回数も、今年から7回ぐらいに回数を増やします。また、06年から参加している大和川流域生活排水社会実験も続け、社会実験の最初と最後近くに7カ所でCODを調査します。あと、竜田川が流れる生駒市、平群町、斑鳩町が設置している「竜田川流域生活排水対策推進会議」の主催で、水の浄化をする水生植物を3月初旬に植える計画があり、私たちも参画させていただくべく、今、申し出ているところです。竜田川は、徐々にですが綺麗になりつつあるという実感を持っています。

 最後に、大和川への思いを伺いました。
境田 人類の文明の発達は、川や海沿いからスタートしています。「命の水」と言いますが、水が生命に非常に深く関わっているわけで、私たちの場合は、竜田川の自然環境を少しでもよくし、維持しながら、後世に残していく責任があると思います。そういう心を、活動を通して広げていければと実感しています。


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境田さんと

川での活動というと清掃や水質浄化ばかりを思い浮かべがちですが、樹木や花を植えることも大事で、新鮮な響きがあります。植えた後の手入れは大変だと思いますが、それ以上に素敵なことを私たちに与えてくれることでしょう。