たこ揚げ大会の様子
手作りたこの他 大たこや連だこも揚げた

石川の豊かな自然が
大人と子供をつなぐ
〜「石川こども『自然隊』」の活動
2008年1月26日放送

石川河川公園は大阪府の4市1町にまたがる長さ11.6kmの大きな公園で、富田林市から羽曳野市にかけて、1950年代の石川を復元するように整備された「自然ゾーン」があります。見渡す限りの原っぱに木々がたくさん生え、所々にある広場では、今日、たこ揚げ大会が行われています。楽しんでいるのは、「石川こども『自然隊』」の子供たち。彼らは、毎月、水の奇麗なこの石川で遊んでいます。

毎月、石川で遊ぶ子供たち

 子供たちが走り回っている広場の隣では、豚汁や焼き芋が用意され、お腹を減らした子供たちを待ち構えています。まずは、たこ揚げ大会を主催している「石川こども『自然隊』」の勝村裕美子さんに伺いました。
勝村 揚げているたこは、11月の活動の際、石川の草花から搾った汁で和紙に絵を描き、12月の活動でたこにしたものです。参加者は、西浦東小学校と喜志小学校で募集した子供、また近隣小学校からの希望者で、4月から石川こども「自然隊」として活動しています。

 1年間、どんな活動をするのでしょう。
勝村 季節にあった石川の自然体験活動をしています。4月は食べられる野草を探し、天ぷらやヨモギ団子などにして食べます。自分の手で取ってくることで、自然に触れ、身近に感じてくれるのではと思います。川に入るのは5〜9月。みんなに川を感じてもらいたいので、5月はまだ寒くても入ります。秋は、昆虫観察をしたり、秋の植物を探したり。1年の活動は、前年の反省を踏まえ、みんなで決めていきます。

 勝村さん自身も、「自然隊」の活動に加わることで変化があったようです。
勝村 福井出身の私は、大阪には自然が少ないと思っていて、子供が小さい時に遊びに来ていた石川もそんなに印象に残っていませんでした。しかし、「石川自然クラブ」が主催する石川を学ぶ講座にたまたま参加し、実際にその自然に触れると、石川の自然の魅力や恵みを感じるようになりました。自分の身近にある自然の大切さに気づかされたと思っています。


自然豊かな石川

 「自然隊」代表で創設メンバーの一人、菊川寛仁さんにも伺いました。まだ若く、大学4年生です。
菊川 この4月から小学校の教師になります。高校3年生の時に始まった総合学習で、「自然隊」の母体である石川自然クラブの方にゲストティーチャーに来ていただいて、石川に興味を持ちました。とくに、石川は大阪でも自然が残っている川なので、そのあたりをもっと近くで見てみたいと思いました。最初はあまり自然のことに詳しくなかったんですが、こうやって子供たちと活動する場合は、僕たちが楽しんでいるのを見て、子供たちがついてくることが分かりました。

成長する姿も感じられて

 「自然隊」創設時の中心メンバーである小竹瑞枝さんに、その当時のお話を伺いました。
小竹  西浦東小学校で教師をしていた2002年、総合学習で石川を取り上げた時、詳しく知りたくて石川自然クラブの石川での行事に参加。そこで、西浦東小の卒業生でクラブ員の下城君に会いました。結局、彼にはゲストティーチャーとして授業に来てもらい、1年間、総合学習に取り組みましたが、このまま終わらせたくないと石川自然クラブに相談し、支援していただいて活動を始めました。自然の中で地域の子供会活動のように遊ばせたいという下城君の思いと、石川で自然環境を学ばせたいという私の思いが相まって、このような「自然隊」が出来上がったのです。

 川に入っている時の子供たちの様子、また、成長ぶりについては、どうなのでしょうか。
小竹 学校でも家庭でも危ないからだめと言われている川に入ると、解き放たれたように元気になり、目が輝いて動きが活発になる。「えっ、泳ぐの?」という感じの所へも平気で入るほど、水に親しみ、自然に戻っている姿がいいなあと思います。また、夏に環境科学博士の谷幸三先生をお招きして川の中の生き物観察した時、先生からテキストを頂いたのですが、それを翌月の「秘密基地づくり」の時に持っていき、現地で捕まえたドンコを照らし合わせて調べている子がいました。小3ですけど、成長が感じられました。

  最後に、石川についての思いを伺いました。
小竹  石川は蔵王峠を源流に、色々な支流が合わさって大和川へと入り、海まで流れていますよね。地域も行政も、部分部分ではなく、1本の川と考えて協働していけば、もっと素晴らしい川になる。子供たちにも、そういう目を育てたいと思います。


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左から
菊川さん、小竹さん、勝村さん

これまでの活動で一番印象に残ったことを子供たちに聞いたところ、川に入って魚を取ったことや川でけんかしたこと、といった答が即座に返ってきました。また、約300 年前の大和川付け替えのことや中甚兵衛の名前なども、よく知っていました。みんな、寒い中でも本当に元気いっぱいで楽しそうでした。