雑魚寝館の屋外展示水槽

不思議な魚がいっぱいいる
大和川近くの不思議な館
〜淡水魚ミュージアム「雑魚寝館」〜
2007年12月22日放送

堺市堺区にある「雑魚寝(ざこね)館」は、川や湖にすむ淡水魚のミュージアム。しかも、少し変わった施設のようです。今回は、4人のキッズリポーター、仲川佳那(小5)さん、眞壁友里(小5)さん、井阪若菜(中2)さんと阿怜(小4)君の姉弟と一緒に訪ねました。屋内は、魚に関する工芸品や絵皿などが並び、まるでギャラリーのよう。また、屋外には、多くの大きな水槽が並んでいます。

金曜夜のみ開館、入館料無料

 屋外の水槽は、建物に沿って庭に所狭しと並び、上には屋根が付けられています。早速、キッズから亀井哲夫館長に、質問が飛びました。
眞壁 見たことのない魚が色々いて、びっくりしました。どうして屋根が付いているんですか?
館長 屋外にあるから、雨が降ったら困るじゃない。だから、水槽のところは屋根が付いています。電気系統がぬれたりしても困るでしょう。
若菜 これだけ多くの魚を育てているとは、すごいなあと思いました。みんなご自分で取られたんですか。
館長 昔は北海道から沖縄まで行き、全部、自分で取っていました。今は、ボランティアや大学の研究者の方々が取って持ってきてくれます。ここの魚は研究に使われたりしますから、どこで取れたかが大事。だから、ペットショップで買ってくるわけにはいきません。

 何種類ぐらいいるのでしょう。
館長 日本の主な淡水魚約百種類のうち60種類余りがいて、大和川で取れたボラやマハゼもいます。大和川は人工河川のため研究者から見ると魚類相が貧弱で、私も魚を取りはじめた10数年前はあまり関心がありませんでした。しかし、当時汚かった水質も今はかなり奇麗になり、雑魚寝館に集うボランティアの方が、非常に珍しいカワアナゴをはじめ、河口で色々な魚を採集されています。

 館長の本業は、中学高校の校長先生。どうして、このようなことを始められたのでしょう。
館長 家の庭に大きな石の鉢があり、夏に雨水がたまってボウフラがわくので、その退治に金魚やメダカを飼いはじめたのがきっかけです。

 水槽を見て、仲川さんが発言しました。
仲川 絵を描きたい!
館長 絵を描くのも大事。魚を深く観察するからね。私も、魚を接写で撮影するようになり、目にピントを合わせる時に真剣に見ることで、それまで気付かなかったことに気付き、魚を研究するようになりました。


屋内の展示

これが大和川のシンボル魚だ

 注目の魚がいる水槽を見せていただきました。
阿怜 ウナギですかね。やせているような気がします。
館長 正解です。やせていますね。去年10月に岡山県の児島湾で取れたアオウナギです。色々な餌をやるんですけど、なぜか食べず、1年間生きています。

 出入口付近の大きな水槽にカラフルな魚がいます。
眞壁 チョウが飛んでいるみたいに羽をパタパタしている感じで、すごく奇麗です。
館長 これは非常に謎に満ちた魚で、北海道の湖にしかいないミヤベイワナという天然記念物です。本来なら川にいる魚が、湖に適応してヒレがチョウのように進化したかも知れませんが、解明はされていません。

 若菜さんは、隣の水槽で泳ぐ魚を知っていました。
若菜 イトウじゃないですか。ゲームの知識ですけど。
館長 そうです。どう猛な魚で、北海道宗谷岬のサロベツ原野で取れました。天然のイトウを飼っているところは、他にまずないんじゃないかと思います。

 大和川のシンボルフィッシュって、何でしょう。
館長 1704年の付け替え工事後に流れてきた土砂が、大和川の特徴です。だから、砂地を好むアオウナギが、大和川河口域にいるのではと思います。昭和30年ごろまで、大阪湾にもいました。もし残っていれば、河口域のシンボルになります。食べたら絶品ですよ。

 大和川について、館長の思いを伺いました。
館長 人工河川であることを逆手に取り、自然以上にいい雰囲気を作る努力をすればと思います。水質もかなり良くなってきていますので、水辺の緑を含めた河川環境を、生き物にふさわしいようにするよう考えていった方がいいかなあと思います。
若菜 ここの維持費は、どれぐらいかかりますか。
館長 怖いから真剣に考えたことありません。夏なんか、北海道の魚はクーラーをずっとかけています。人間はタイマーを使ったりして我慢しますが、魚は我慢できない。だから、皆さんも生き物を飼う場合は、その生き物が心地よいようにしてあげないといけません。

 

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亀井館長(後列左)と
キッズリポーターたち

雑魚寝館から東へ徒歩数分、大和川まで出ました。川幅は40〜50mほど、カモが泳ぎ、シラサギの姿が見えます。魚は、その姿は見えないものの、時折、跳ねる音が聞こえてきます。今回、雑魚寝館で間近に見た淡水魚は、とても新鮮でした。いつか、大和川でアオウナギの見つかる日が、とても楽しみです。