メイン会場
(2007年9月8日開催)

「食」「車」「池」 …
着々と進化する災害への備え
〜防災・減災フォーラム2007in奈良 パート2〜
2007年9月22日放送

台風シーズンの9月。防災に感心を持っていただこうと、8日に奈良県橿原市のダイヤモンドシティ・アルルで開催された「防災・減災フォーラム2007in奈良」。今回はパート2として、パネル展示や災害対策車の展示、アルルにある防災調整池の見学会の様子などをご紹介します。各コーナーでは、訪れていた皆さんにお話を伺い、非常食の展示コーナーでは、試食をして、その味も確かめました。

サラダのおいしさに驚き!

 パネル展示では、災害の様子や行政の取り組み等が分かります。奈良県で行われている総合治水対策では、雨を一時的にグラウンドや駐車場にためている様子が紹介され、また、地すべり災害の写真もあって、その怖さを思い知らされます。来場者に聞きました。
男性 ここに載っている内容は、みんなで話し合うのに参考になるかと思って見ています。地域の安全などを話し合うグループがあるんでね。子供の時、2年続けて水害にあって、家を流されたりしたこともあります。すべての交通が遮断されて、物が入ってけえへんし。その記憶は強烈に残っています。

 お孫さんと一緒の女性にも、伺いました。
女性 地震の起こる確率がすごいと聞いたから、マップ作りに携わっています。例えば、身障者の方がいる所を黄色、老人所帯を赤色で記し、自分で行ける範囲内において、1人も見逃さないようにしています。家族については、2歳半のこの孫も、リュックに乾パンや水、タオルなどを入れて玄関に置き、いつでも逃げられるようにしています。


非常食コーナー
 非常持ち出し袋や非常食の展示コーナーには、軍手やブルーシート、携帯ラジオやろうそく、懐中電灯の他、折り畳み式ポリタンクや救急医療品、ポンチョなども並んでいます。また、その向かい側には非常食もあり、クイズラリー参加者はそれを試食することができます。ドロップ、乾パンはもちろん、野菜ミックスや炊き込みご飯のようなもの、お餅やポテトサラダまであって、一見、普通の食卓のようです。かなり日持ちがし、ポテトサラダが3年〜5年、ご飯も3年ぐらいは持つようです。作り方はとても簡単で、真空パックに入っているものに水かお湯を入れて置いておけば、普通のご飯が出来、フリーズドライされた缶入りポテトサラダも、水で戻すだけです。さて、それを試食してみると…しっかり味がついていて、全く普通に外食で食べるポテトサラダのようにおいしい!これが非常時に食べられるとは、かなり驚きです。 

 

駐車場の緩い傾斜が
町を洪水から守る

 パネル展示の隣には、災害対策車が止まっています。どういった車なのか、係の方に伺ってみました。
係員 川の状況をパトロールするための車で、雨がたくさん降ったような時に、見回っていきます。災害時には赤色灯が回り、夜間でも川の状況等が見えるようなライトも付いています。

  アルル北側の平面駐車場奥にも、大型の災害対策車が展示されていて、その中には、大型クレーンの先に付いた直径50cm以上もありそうな六つのライトで、災害時に遠方を照らすことができる車もありました。多くの皆さんが、車に乗ったり、一緒に写真を撮ったりして、とても熱心に見学していました。

 一方、ステージでは、「総合治水博士」による講座が始まり、「治水対策」と「流域対策」を総称した「総合治水対策」について説明が行われました。実は、アルルの駐車場の一部が、博士の説明に出てきた流域対策の一つである「防災調整池」になっていて、その仕組みを知る見学会に原田年晴アナウンサーと参加をしました。

 駐車場は、言われれば分かる程度の緩い傾斜がつけられ、奥に行くにつれて下がっています。大雨が降った時、低い方へと水が流れ、防災調整池となっているこの駐車場に一時的にたまり、川の水が減ってきたら少しずつ流れていく仕組みです。見学会の参加者の皆さんは、防災調整池について知っていたのでしょうか。

女性 知りませんでした。素晴らしい施設で、びっくりしましたし、勉強になりました。

  規模は小さいんですが、家庭でも似たようなことができます。
女性 うーん、雨の日に、バケツに水をためたり、植木鉢を出したり。

 よくご存じでした。大雨の日に、お風呂の水を流すタイミングを少し遅らせるのも、効果があります。色々な形で実践できそうです。  


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防災調整池見学会

非常食や災害対策車の実物を見ることで、具体的に色々な場面を想像することができました。小さなことでも自分にできることが、まだまだたくさんありそうです。皆さんにも、大和川に関するイベントなどに参加していただき、防災や減災について、もう一度考えてみていただければと感じました。