トークショーの様子
(2007年9月8日開催)

勇気を持って逃げること
それが自分や家族を守る
〜防災・減災フォーラム2007in奈良 パート1〜
2007年9月15日放送

3連休が2度もある9月。しかし、台風シーズンでもあり、アウトドア派には注意が必要な時期でもあります。9月8日開催の「防災・減災フォーラム2007in奈良」では、「自分と家族の守り方〜勇気を持って逃げること〜」をテーマにしたトークショーが行われ、原田年晴アナと愛須理絵が国土交通省大和川河川事務所の藤井政人所長に、防災に関するお話を伺いました。その模様をご紹介します。

重要なソフト面での「公助」

原田 最近は、雨が降らないと全く降らず、降るとなるとバケツをひっくり返したような雨が降り続きます。今年7月には、大和川でも豪雨がありましたね。

藤井 7月17日、大陸から来た低気圧が梅雨前線を刺激し、ここ橿原市や桜井市の方では1時間に百mmを超えるような雨が降りました。大阪の富田林市などでも大きな出水になっています。王寺町辺りでは、平成11年8月以来となる河川の水位を記録しました。

原田 自然には逆らえません。異常気象が増えたら、人間として身を守るしかなく、防災・減災が必要となってきますが、それは誰の役目なのでしょうか。

藤井 最近、「自助、共助、公助」という言葉がよく使われます。そのうち「公助」は、河川整備など、私達がしているような仕事と言えます。

原田 では、大和川のことをよく勉強している愛須さんから、その内容を紹介してもらいましょう。

愛須 まずハード面では、河川整備、ダム造り、大阪府内におけるスーパー堤防の整備などがあります。これは高さの30倍もの幅がある堤防です。こうしたことを「治水対策」と呼んでいます。一方、奈良県内では、大雨が降った時、一時的に学校のグラウンドや駐車場などに水をためて少しずつ流す「雨水貯留浸透施設」を造ったり、ため池をそうしたことに利用するよう整備したりといった、流域で対策をする「流域対策」も行われ、これらのことを総称して「総合治水対策」と呼んでいます。さらに、ソフト面では、代表的なものに「浸水想定区域図」の公表があります。これは、「これぐらいの豪雨が降ると、この範囲に、これぐらい水がたまってしまいます」というような情報です。各市町村はこれを基に、「洪水ハザードマップ」を作って住民に配っています。また、大和川河川事務所では、ホームページや携帯サイトを開設し、洪水に関する情報を提供。とくに携帯のサイトでは、登録者に対し、川の水位が一定の高さを超えるとメールで知らせるという迅速な対応もしています。

モップをつえにして逃げる

原田 自らの防災につながる「自助」においては、どんなことをしたらいいのでしょうか。

藤井 簡単に言うと、「逃げる」ということになります。自分や家族の命を守るために何をするかを普段から意識し、例えば、洪水ハザードマップに書かれている避難場所を家族で確認し、最短ルートを知っておくことなどが第一歩かなと思います。

原田 逃げるタイミングは、どう判断すればいいのでしょう。また、上手な逃げ方はあるのでしょうか。

藤井 確実に避難場所まで行くことが大切であり、駆けっこのように一斉にスタートすると、人や住んでいる場所の違いで、間に合う人も間に合わない人も出てきます。市町村が避難指示を出す段階では、もう危険が目前まで来ていますから、その前の避難勧告が出るか出ないかぐらいで避難するのが無難ですね。一番いいのは、水が入ってこないうちに逃げること。成人男性でも、ひざぐらいまで水が上がってくると、相当歩きづらくなってきます。その時、モップや物干しざおなどをつえ代わりにすれば、転倒防止にもなり、また、水でマンホールの穴や側溝が見えない状態でも、探っていくことができます。最後の最後には、家財道具を置いてでも逃げるんだという、勇気を持った行動をしていただければと思います。

原田 最後に、「共助」についてお願いします。

藤井 隣近所や町内会で助け合いましょうということです。例えば、近所に車椅子の方が住む養護施設などがあったら、逃げる時に一声掛け、介添えしながら逃げる。水害で逃げた先がまた水没することがあり、そうした場合は高台にあるお宅に避難させていただく。そういったことも、共助の方向として考えられます。市町村が作っている地域防災計画でも、介添えの必要な方がいる所はどこか把握するようにということで、今、書き換えの準備を進めています。そうしたものに基づき、自分の隣近所にどんな方が住まわれているのかを、普段から把握していただければと思います。

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藤井所長の気さくな
トークも好評

愛須自身、トークショーに参加することで、自分かどれだけ防災・減災について分かっているのか、再確認することができました。まだまだ不十分な知識ですが、いざという時に誰かの役に立てるぐらいの充分な備えをしておきたいと思います。皆さんも、防災・減災について色々と考えてみてください。