大和川フォーラム
(2006年9月開催)

いつの間にか私も参加
Cプロジェクト計画って?
〜大和川再生を加速させる取り組み〜
2007年9月8日放送

これから季節の変り目、日焼け跡が心配になります。疲れた肌にはビタミンCがいいなどと言われますが、今回の話題も同じCにまつわるものです。それは、昨年9月に誕生した「Cプロジェクト計画」。今年9月は大和川再生推進月間ですが、それと何か関係があるのでしょうか。また、人とビタミンCの関係のように、Cプロジェクト計画は、大和川を美しく元気にしてくれるものなのでしょうか。

平城遷都1300年に向けて

 国土交通省大和川河川事務所調査課の足立隆裕さんにお話を伺いました。まずは、Cの意味から。
足立 change、collaborate 、concentrate のCで、「水質の悪い大和川」というイメージを変え、流域全体が連携し、力を集中することを意味しています。ただ、これはあくまで一例で、challenge やclean など、大和川と結びつくCを皆さんが好きに当てはめればいいと考えています。以前から、大和川では色々な機関や団体が、再生に取り組んでおり、着実に水質は良くなってきました。それをさらに加速させていこうというのが、Cプロジェクト計画です。

 どのように生まれたのでしょうか?
足立 大和川には、流域に深い歴史や文化があり、大規模地すべり地や人工の天井川が続くまれな条件の下に約215万人もの人々が暮らすという、他の河川にはない事情があります。高度成長期に水質が非常に悪化しましたが、日本古来の歴史的・文化的背景を持つ大和川を再生させる意義の大きさは、誰もが認識しているところです。そんな中、大和川付け替え300 周年を迎えた2004年に、大和川本流8地点のBOD(生物化学的酸素要求量)の平均値が環境基準レベルを下回ったことをきっかけに、大和川再生に向けた機運が高まりました。翌2005年3月には、流域代表市町村長、奈良県・大阪府両知事、国土交通大臣が参加し、堺市で「大和川水環境サミット」が開催され、「大和川水環境サミット宣言」が採択されました。これが、流域住民と行政がパートナーシップの関係で大和川再生を目指す始まりとなりました。

 具体的には、どんなことが宣言されたのですか?
足立 2010年の「平城遷都1300年」を目標に、「生命・財産を守る安全で安心な大和川」「次世代に伝える美しい大和川」「地域を育む豊かな大和川」の三つの取り組みを、関係市町村、奈良県、大阪府、国土交通省が一致協力して進め、その実現のために「Cプロジェクト計画」を立案することが盛り込まれました。

 実際にCプロジェクト計画が出来たのは、いつなのでしょう。
足立 昨年9月10日、奈良市で開催された「大和川フォーラム」において採択されました。最初に示された「素案」について、流域住民やNPO、学識経験者などの参加者が意見交換を行い、それを取りまとめた「Cプロジェクト計画2006(案)」について、国土交通大臣や奈良県知事、大阪府副知事、流域38市町村長が意見交換して、最終案が「Cプロジェクト計画2006」として採択されたわけです。

 


●Cプロジェクト計画の詳細はこちらをクリック
      →Cプロジェクト

身近な行動が参加につながる

 Cプロジェクト計画には、どんなことが書かれているのでしょう。
足立 まず、計画策定の背景や、これまでの取り組みについて書かれています。例えば、この番組「人・ゆめ・未来 大和川」についても、大和川流域の情報を発信するラジオ番組として挙げられています。次に、「大和川の再生を加速するプロジェクト」として、今後の取り組みが列挙されています。2010年の平城遷都1300年を目指し、力を集中して取り組みを重点的に実施するため、「大和川再生推進月間」を制定することなどがうたわれています。なお、2007年はモデル的に9月を大和川再生推進月間としています。

 今後の取り組みとしては、どんなことが列挙されているのですか?
足立 たくさん列挙されていますが、例えば、「生命・財産を守る安全で安心な大和川」では、亀の瀬の地すべり対策の早期完成やスーパー堤防の整備などのハード面に加え、洪水ハザードマップを作るなどのソフト面も挙げられています。「次世代に伝える美しい大和川」では、水に親しめる安全で快適な空間をつくることや、源流から海までごみのない大和川を目指すことが書かれています。また、「地域を育む豊かな大和川」では、川の指導者といった人づくりや、ネットワークづくりなどが挙げられています。

 ごみのない大和川という意味では、清掃活動をしている方や散歩中にごみを拾う方も、Cプロジェクト計画に参加していると言えるのでしょうか?
足立 立派な参加者と言えます。多少、名前は大げさに聞こえるかも知れませんが、Cプロジェクト計画は誰もが気軽に参加できるものです。

 アクリルたわしを使う、お米のとぎ汁をそのまま流さないといったことも、参加につながるようです。ところで、モデル的に大和川再生推進月間とされた今年9月は、どんなことが行われるのでしょうか?
足立 「生命・財産を守る安全で安心な大和川」については、本日(9月8日)に奈良県橿原市で開催している「防災・減災フォーラム2007in奈良」があります。「次世代に伝える美しい大和川」と「地域を育む豊かな大和川」については、9月24日開催の「大和川の集い」があります。

 Cプロジェクト計画採択後、この1年ではどのようなことが進んだのでしょうか?
足立 現在、「ここまで進んだCプロジェクト〜大和川再生推進事例集」と題した冊子を作り、取りまとめを行っています。

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足立さんと

長い歴史を持つ大和川を再生させたいという人々の思いが、Cプロジェクト計画につながりました。今後、さらに多くの人々に愛され親しまれる大和川になるよう、色々な活動に関わっていきたいと感じました。皆さんも、大和川にお出掛けになり、ぞれぞれの形でCプロジェクト計画にご参加ください。