大和川と竜田川の合流点付近で

川に子供を呼び戻したい
川を調べ、川で遊ぶ
〜愛須、大和川で釣りにチャレンジ 〜
2007年7月21日放送

奈良県斑鳩町、大和川と竜田川の合流点まで、釣りをしにやって来ました。大和川で釣り?魚なんているの?などと疑ってはいけません。色々な魚が住み、釣りも十分に楽しめると聞いています。とはいえ、初心者の私には、どこでどんな魚を釣ればいいのか分かりませんので、専門家に教えていただくことにしました。準備は万端。大和川の流れを目の前にして、段々と釣れそうな気がしてきました。

釣り人の視点で環境活動

 今回、釣りを指導してくださるのは、「NPO法人釣り文化協会」代表理事の来田仁成(らいたひとしげ)さんです。まずは、釣り文化協会について。
来田 水産庁が公認している釣りインストラクターを中心にしたグループです。「大阪南港魚つり園」に来られる人に釣りを教えたり、マナーを守っていただいたり、また、大阪湾の水質調査を主な事業にしています。沖合では水産試験場や海上保安庁が水質検査をしていますが、釣り人がよく行く岸壁のそばで釣り場の水質を調べようというわけです。魚と関係が深いのは溶存酸素で、夏に大阪湾の上層に多く発生する微生物が大量だと、死んで沈み、溶存酸素量が少なくなる。すると、魚の泳ぐ層が段々と上がってくるんですよ。底にいるはずの魚がどうして上にいるんだと。こんな現象がおかしいからと、水質検査を始めたのです。検査結果は、ホームページで公開し、国土交通省にもお知らせして、研究所の先生方に研究していただいています。

 川ではどんな活動をしていますか?
来田 同じように川の状況を調べています。途中で生活排水が流れ込んだりしつつも、海へは川の源流の水が流れていますが、石に緑色のコケが付くなど、源流の状態も少しずつ変わっています。その原因をみんなで考えながら、色々なジャンルの釣り人を動員し、下流まで、それぞれが行きやすい場所を調べてもらい、結果を知らせてもらっています。

 子供たちを交えた取り組みも、あるようです。
来田 海や川に関心を持ってもらおうと、子供たちも巻き込んでいます。ひところは、堤防に「よいこは川に近よらない」なんて看板が立っていた。親も危険だと思っていた。でも、そうじゃないでしょう。川に入ってタニシを取ったり、魚を手づかみで追っかけてみたりというのが、子供にとって楽しいことですから。夏休みの自由研究にもなるし。

 ただ、川で遊ぶ場合には、注意も必要です。
来田 どうしたら危ないかということも知っておいてもらわないと。深みや流れの激しい所に入らないということを、子供は無鉄砲なものなので、ある程度の危険を体験させてあげながら知ってもらう。ただ気を付けろと言っても、気を付けられるものじゃないですよ。

 

ほとんどの魚がいる大和川

 汚れているイメージのある大和川ですが、魚は多いのでしょうか?
来田 川としては、多い方だと思います。汚れているということは、栄養値が高いということでもあるわけで、ある程度の状況はいいと思うんですよ。この竜田川と大和川の合流点にはコイが多く、どうやら大和郡山市あたりで飼っていたのが逃げてきたもののようです。他に、フナやハエ(オイカワ)、ニゴイをはじめ、川に住むほとんどの魚がこの付近で釣れます。今日はハエを中心に、小物を狙います。ハエは銀色に光る奇麗な魚で、原産地は琵琶湖ですが、今は全国の河川にアユと一緒に広がっています。煮付け、串焼き、天ぷらなどで食べられます。

 いよいよ釣りにチャレンジ。餌はアカムシです。
来田 今日は割と増水していますから、ただこうやって、浮きを流れに任せているんですよ。おっ、今、浮きが沈みましたでしょう。餌が一つ取られていますね。魚がいるということです。

 期待できそうです。ところで、来田さんは、竜田川で泳いだ経験をお持ちとのこと。
来田 小学生のころ、戦争直後は疎開でこの辺に引っ越していました。この少し上流に大きな石があり、その下の淵で初めて水泳を覚えました。記憶では、いっぱい小さな魚が泳いでいて、カエルも多かったし、ホタルもたくさん飛んでいましたね。川を自然な形で流していけば、そうした水の奇麗さはすぐに戻ると思うんですよ。一昨年、河口でのイベントに参加し、ハゼ釣りをやりましたら、結構、釣れましてね。皆さんあきらめていたのですが、若いころによく釣ったハゼか、きちんと復活していてうれしかった。


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釣りの先生は来田さん

プロの方に付いていただき、手取り足取り教えていただきながら、大和川で釣りを満喫することができました。そして、川に入ることで、眺めているだけでは分からなかった水の勢いの激しさも感じることができました。これからは、増水の時などには注意をし、川の様子を見極めながら楽しむことにします。