人と蛍が共存できる環境を! 理事長の石川賢司さんに伺いました。石川さんは、大阪生まれの大阪育ちとのこと。
石川 12年前に奈良県橿原市に引っ越し、初めて蛍を見ました。活動としては、5年ぐらい前から友達と蛍をよく見に行くようになり、2年ぐらい前から色々な人と出会って調査活動を始めました。一昨年11月には「青少年のための科学の祭典」で展示を行い、昨年は小学生のための自然観察会を開催するなどし、今月6月にNPO法人になりました。普段は8人ぐらいで活動していて、蛍を増やすため、幼虫を育てて成虫にし、川にケージを設置してその中で飛ばせて産卵させ、また育てています。今年の飛び具合を見ると、成果があったかなあと。地元の方も喜んでくれています。
蛍を見て、子供たちはどういう反応をしますか?
石川 幼虫を見る機会はあまりないので、イモムシみたいでびっくりします。
蛍には奇麗な水が欠かせません。奇麗なイメージがある飛鳥川に、子供たちはよく入るのでしょうか。
石川 明日香村なら奇麗ですけど、下流の橿原市に入ると途端に汚くなり、コンクリート護岸に覆われた川になって、子供が川に入って遊ぶことは全然なく、川は危なく汚いというイメージしかないと思うんです。そういう子供たちに、川で遊んでもらいたいと思っているんですけどね。
蛍を増やすには、どういうことをしていけばいいのでしょう。
石川 まず、餌になるカワニナをうまく増やして、蛍も増やしていくことが大事です。川の構造は、コンクリートではなく、土や草があるのが一番ですが、僕らにできることではないので、働きかけもしていかなければと思います。
最近はどんな活動をされましたか?
石川 ちょうど蛍が飛んでいる時期なので、撮影して生態の教材になるようなビデオを作ったり、絵本を作ったりして、環境教育的な啓発活動のようなことも一生懸命やっています。蛍以外にも、メダカなど色々な生物が減っていますが、どうしても人間中心の考え方になっているから、他の生き物が生きにくい。共存できる川づくりや社会づくりが必要だと考えています。
これからの取り組みは?
石川 川自体を奇麗にしていくことも大事だと思うので、清掃活動などを通じ、水や川の大切さを訴えていくことも考えています。 |
子供が遊べる飛鳥川に!
続いて、副理事長の島田昌則さんに伺いました。
島田 3年ほど前、別の団体でイベントをし、田んぼで自然を観察したら、小さいころによく見た色々な虫などがいました。その年、自分の子供に蛍を飛鳥川上流まで見せに行ったところ、田んぼ横の小川でたくさん飛んでいた昔の印象に比べ、少なくて寂しく感じたため、蛍を増やしてみようかなと思いました。たまたま橿原市昆虫館の先生に話したら、色々な人を紹介していただいてASUKA自然塾が出来たんです。
実際の活動では、どのようなことを?
島田 明日香村で営んでいる工務店のところに大きな水槽を置き、一番最初は川で幼虫を捕まえて入れました。あとは成虫にして卵を産ませ、段々と増やしていきました。今は餌を増やすこともやっています。
蛍の魅力は?
島田 なんとなく神秘的で、人がそこに寄ってくるような気がしますよね。今の僕らの活動に、地元の年配方が応援してくれると、へこたれてられへんみたいな思いになります。
島田さんにとって、飛鳥川はどんな存在ですか?
島田 雷(いかずち)地区に住んでいた小学生のころ、先輩のお兄ちゃんらに連れられ、ゴムボートを持って泳いでいた記憶があります。今、そういうことをする子供を見ないんですよね。子供が川に入って遊べるような飛鳥川に戻ってくれたらなあと思います。
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石川さんと飛鳥川で
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蛍の再生に取り組んでいる皆さんのお話からは、蛍だけではなく、その他の生き物たちを取り巻く環境すべてを良くしていきたいという熱い思いが感じられました。お話の後、日が暮れると実際に蛍も登場。実物を見るのは初めてでしたが、映像で見るよりもはるかに繊細で美しい光に感動しました。
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