加賀屋新田会所跡の
美しい庭園

住之江区の大和川周辺
秋の名所をご案内

〜加賀屋新田会所跡と大和川〜
2006年11月18日放送

今回は大阪市内の大和川を散策します。大和川では紅葉が見頃を迎えていますが、今日訪ねている大阪市住之江区でも、大和川やその周辺に素晴らしいスポットがあるそうです。大和川に関連する歴史的な遺産も見られるとのこと。「住之江のまち案内ボランティアの会」代表の吉久英昭さん、平成16年度代表の鍵岡昌法さんに、住之江区の大和川界隈の魅力をご案内頂きます。

昔、壮麗な庭園の池には
大和川の水が注がれていた

 大和川に架かる阪堺大橋から200m程北東へ。住宅街の中に、突然、大きな木と高い塀に囲まれた敷地が見えました。中に入ると、美しい日本庭園と立派なお屋敷。玄関前の石碑には「加賀屋新田会所跡」と書かれています。ここはどういう所なのでしょうか?
吉久 約300年前に、大和川が今のように大阪湾へ真っ直ぐ流れるように付け替えられたことで、新大和川の河口には、上流から運ばれてきた土砂が堆積(たいせき)しました。そこを順次埋め立ててできたのが、北島新田や加賀屋新田などです。新田会所とは、開発した新田を管理する所です。ここ加賀屋新田会所は、宝暦4(1754)年に加賀屋甚兵衛が自分の開拓した加賀屋新田を管理する場所と居宅を兼ねる屋敷として建てたものです。美しい庭園や茶室を設け、文化人も訪れるサロン的な用途も持たせています。

 この庭園、かなりの広さがあります。たくさんの種類の木があって、四季折々で楽しめそうですね。
吉久 敷地は約1500坪あります。常緑樹が多いので、いつ来られても奇麗です。今は、キクのような黄色い花が咲くツワブキ、またハゼの紅葉も見頃です。

 真ん中にあるこの大きな池は?
吉久 「心字池」と言われています。複雑な形をした池の周りを歩くと、道を曲がる度に違う景色が味わえます。

 この近くには大和川が流れていますが、もしかして、昔は、この池も大和川の水を引いていたりしたのでは?
吉久 池の水は元々、わき水を使ってまかなってましたが、この屋敷のすぐ横に井路(いじ)という田んぼの水路が流れていたので、そこからの水も使うようになっていたようです。その井路は、大和川から分岐した十三間堀川という人工の川とつながっていました。ですから、間接的に大和川とつながっていたと。加賀屋甚兵衛さんは昔、この庭の池から舟で外へ出て、井路を通って、十三間堀川をさかのぼり、難波のほうまで芝居見物に行ったと言われております。
 家の池に舟を浮かべ、そこから町へ遊びに出掛けたと。なんてぜいたくな暮らしなんでしょうね。


 加賀屋新田会所跡から100m程南にある高崎神社に立ち寄りました。この神社とすぐ近くの砂神社は、加賀屋甚兵衛が新田開発の成功を祈り、田んぼを洪水から守るために、彼の出身地である富田林の喜志の産土神(うぶすながみ)をこちらに奉り、建てたものだそうです。


たくさんの渡り鳥が集まり
上空を飛ぶ眺めのいい場所

 続いては、鍵岡さんにご案内頂き、大和川沿いにやって来ました。阪堺大橋と阪神高速湾岸線の真ん中ぐらいの河川敷です。目の前を流れる大和川の中州には、たくさんの鳥たちが見えます。
鍵岡 ここは鳥が非常に多く、冬
はカルガモやヒドリガモ、アオサギなどが見られます。ユリカモメも多い時は1500〜2000羽が飛来してきます。さっき、しっぽを振りながら歩いてたのはセキレイです。

 可愛いらしい姿でしたね。鳥の他に、住之江区を流れる大和川の魅力というと?
鍵岡 シーズンになると、シラスウナギが多く上がってきます。また、今の時期には、ボラが多く泳いでいます。私も、ついこの前、網でつかまえました。

 実は今日も、早朝から網1本で魚をとって下さいました。目の前で泳いでいるこの魚は何ですか?
鍵岡 マハゼです。そしてウナギ。カニやモツゴ、ドンコ、テナガエビも。上流ではメダカやモクズガニもとれます。南港方面ではチチブという魚、浅香のほうへ行くと、オチアユやカムルチーという魚がおります。

  最後になりましたが、「住之江のまち案内ボランティアの会」は、どんな会なんでしょうか?
吉久 住之江区のガイドボランティア講座を修了した中の有志が集まり発足した会です。一般の団体さんの他に、小学校の課外授業でも案内しています。ガイドをしたいという方も募集しております。


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吉久さん(左)と
鍵岡さん

今日は大阪市住之江区の大和川を満喫しました。加賀屋新田会所跡は、こんな所にこんな素晴らしいものが!と、宝物を発見したような気分になりました。ぜひ皆さんにも行って頂きたいものです。ガイドをお願いする場合は、住之江区役所区民企画室まで。案内料は無料で、ガイドさんの交通費も不要ですよ。
tel.06−6682−9734