2006年 「狭山池まつり」の様子
(大阪狭山市)
写真提供:狭山池まつり実行委員会

桜、チョウ、水鳥
輝きを映す市民の池

〜川の途中の美しいダム狭山池〜
2006年10月28日放送

大阪狭山市に来ています。今日(10/14)は、大阪狭山市文化会館さやかホールで「南河内 水辺のつどい〜川の環境づくり住民会議〜」が開催されています。これは、南河内の川や池などの水辺環境をより良くするために、地域住民や団体、学識者や関係行政機関が何をしていくべきかを話し合うものです。この会議にも参加されている狭山池まつり実行委員会・会長の武田博允さんにお話を伺います。


多くの詩人や歌人たちにも
歌われてきた美しい池

 「南河内 水辺のつどい〜川の環境づくり住民会議〜」が終わり、狭山池に来ました。この狭山池は、7世紀前半に造られた日本最古のダム形式のため池です。古事記や日本書紀、多くの詩人や歌人により、この池の美しい風景が歌われてきました。
  狭山池には河内長野市が水源地の西除川が流れ込み、池を経由して、堺市で大和川に合流します。また池からは東除川が流れ、大阪市平野区で大和川に合流しています。古代から何度も改修が行われた狭山池は、平成13年に終わった「平成の大改修」で、完全にダムとなりました。

 その改修工事と並行して行われた総合的な学術調査では、たくさんの埋蔵品が見つかったそうですね。

武田 我々がびっくりするような遺構が出てきたわけです。「水底の棺」という小説にもなりました。そうした歴史的価値を誇りに思えるように、今の子供たちに伝え、また一般市民もそれを発信できるようにと「狭山池まつり」を始めました。毎年4月29・30日に行っています。今年で5回目で、7万8200人が参加しました。29日は新しい池の誕生を祝います。小学生を総動員して、8000本のローソクを灯して池の周囲2.5kmを囲む幻想的なイベントです。30日はメインの龍神舞台を中心に、子供たちのヒップホップダンスやフラメンコを。また、近隣中学生のマーチングフェスティバルで堤を一周したり、模擬店や野菜、植木の販売をするなど、市民に密着した内容を行っています。

 狭山池まつり実行委員会の活動の一つに「クリーンアクション」というものがあるということですが、こちらはどういう活動なんですか?
武田 毎月第4土曜日にボランティアを募集して、狭山池の全周の清掃、また西除川から流れ込んできたごみや流木の掃除をしています。また、大阪狭山市民の15%が狭山池の水を飲んでいるので、水をもっと奇麗にしようと市民にPRしたり、水質検査をしたりしています。活動の成果として、犬の散歩をする人は、ビニール袋に犬の糞と一緒に、落ちてるごみも拾って歩いてくれるようになりました。

堤防に桜を植え
桜の新名所をつくる

 建築家の安藤忠雄さんの協力で、桜の植樹活動も行っているということですが。
武田 「狭山池桜満開委員会」を大阪府と大阪狭山市と狭山池まつり実行委員会の三者で作りました。そこに安藤さんが「私も協力しよう」と、ボランティアで講演会をしてくださっています。それで、その会場に集まった人から募金を頂いて、桜の植樹を行っているということです。元々、狭山池ができた時に市民の寄付によって1000本の桜を植えたのが、この3年間で1300本くらいに増えました。

 「バタフライガーデンの設立」もされていると。
武田 花を植え、チョウが集まるようにして、市民に楽しんでもらおう、というアイデアからです。チョウが産卵する食草も植えるので、小学生の生きた教材になります。今年は既に34種類のチョウが訪れてます。

 今日開催された「南河内 水辺のつどい〜川の環境づくり住民会議〜」では、狭山池とつながる西除川と東除川の環境改善について話し合われていました。武田さんは参加され、どのような発言をされましたか?
武田 上流と下流が話し合うシステム作りを提案しました。自分たちの住んでる所から下へごみや汚い水は流さないという意識です。幸い大阪狭山市は下水道の普及率が99.9%。大和川に悪い水が流れるというのは、やはり下水道の普及率が大きく関係していると思います。流域の住民の意識も必要です。

 今後の狭山池への夢などをお聞かせ下さい。
武田 桜をもっと増やしたい。今の子供たちが成人式を迎える頃には、堤防が花で埋め尽くされ、大阪の新しい桜の名所になってほしいです。それから水の浄化。もっと奇麗にして、下流の人に奇麗な水を流したいということで、行政といろいろ語り合っています。
  *****


武田博允さんと

狭山池は本当に美しくて、遠路はるばる足を運んで、何回も通ってみたくなる池だと思いました。水辺ではカモがスイスイと気持ち良さそうに泳ぐ姿が見えました。大和川も、みんなが誇りに思えるように奇麗にして、「遠くからでも足を運びたい川だ」と言われるような川にしたいなと決意を固くしました。