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毎回、大阪を拠点に活動しているNPO法人やNGO、ボランティア団体、そして大阪のいろいろな地域で活躍している方やその地域の活動内容を通して、大阪の「ひと」や「まち」の魅力を発見していきます。
たくさんの人に知ってほしい大阪を魅力いっぱい、情報満載でご紹介していきますので、みなさんご期待ください。

2006年9月23(土)放送

個性を発揮しながら、
さまざまなジャンルのお話を語って聞かせる。
〜『なにわ語り部の会』〜

今回は、大阪市内の図書館のお知らせなどでよく見かける『なにわ語り部の会』の活動をご紹介します。会員の語り部のみなさんが、ご自身の個性を発揮しながら、いろいろなジャンルの話を、それぞれの味で語っていらっしゃいます。大阪市内で活動することが多く、大阪の方が多いのですが、中には地方の方言で話す方もいらっしゃいます。活動の歴史はなんと28年にも及ぶのだとか。代表の村田せつ子(むらた せつこ)さんに、お話を伺います。



●インタビュー前半

藤原:『なにわ語り部の会』の活動の概要からまず教えてください。
村田さん(以下、村田・敬称略):私たちは大阪市内の図書館6ヶ所と、市内の高齢者施設で、毎月、お話の語りをサービスしています。中でも、大阪赤十字病院の付属の大手前整肢学園では、長年にわたってお話を楽しんでいただいています。また、大阪市ではありませんが、豊中市の知的障害者の施設にも、お話サービスに伺っています。“素語り”が中心ですが、できるだけお話を一緒に楽しんでもらいたいので、思いを込めて語りをしています。

藤原:そのお話というのは、どういったものですか?
村田:日本の昔話もありますし、外国の昔話もあります。今では、西アフリカの昔話を得意な分野にしている会員もいます。もちろん創作童話も、その中に入れたりしています。

藤原:『なにわ語り部の会』は、いつごろ、どのような経緯で、できたのですか?
村田:語り部の著作物などもたくさん出している禅定正世(ぜんじょう まさよ)さんが、1970年代後半に、初めは高校生を対象に語りの講座を始められたと聞いています。そのずっと以前から禅定先生は、大阪の淡路で、『親星子星(おやぼしこぼし)』という文庫を、始めていらっしゃいました。「高校生はいずれ親になるから、その時に、子どもたちにお話を語ってもらえたら…」ということで、大阪ボランティア協会の講座として、『お話語り手養成講座』を始められたそうです。その講座を受けた人たちが、せっかく勉強した語りを、なんとかしてみなさんに聞いてもらいたいと思い、それが『なにわ語り部の会』を誕生させるきっかけになったと伺っています。

藤原:そこで入った方たちが、今の会のもとになっているわけですね。
村田:はい。

藤原:禅定さんは、どのような方ですか?
村田:私は、語り部講座の20期生なんですが、禅定先生はそれまでずっと講師をなさっていました。その後も、“姥語(うばがた)り”という形でみなさんにお話を広めたいというご意思があり、今は滋賀県の高島市でNPO法人を立ち上げ、そちらで活動をされています。


●スタジオ

藤原:お話にもありましたように、形は“素語り”。だから特殊な服を着るわけではなく、人形なども全くなし。見た目は地味ですが、本当に語り一本で勝負されています。

松本:村田さんの話される口調自体がもう語り部っていうかね。

藤原:そうでしょう。普段から、雰囲気出ていますよね。

松本:ありますね。

藤原:毎月、定例会を行い、そこで新たな情報交換をしたりして、次の話の展開に持っていくよう勉強されています。会員のみなさんは140〜150人ぐらい登録されているのですが、実際に活動しているのは半分ぐらい方で、女性が多いそうです。でも、その中で貴重な存在として男性が2〜3名いらっしゃるということで、「もう、ずっといてて」とおっしゃっていました。

松本:いろいろな方がいてレパートリーも豊富という感じですが、その中でも男性は少ないから、男性の話っていうのは貴重なんでしょうね。

藤原:みなさんすごく意欲的な方ばかりで、中には『なにわ語り部の会』に登録しながら、また別に、例えば東大阪や松原、箕面など、自分の住んでいる地域にも活動を広げていらっしゃる方や70歳を越えた会員の方もいるそうです。また、秋田弁で語りをする会員さんもいて、『なにわ語り部の会』といっても、大阪弁ばかりではないそうです。そして、一番大切にされているのは、奇麗にしゃべらなくてもいいから、自分の言葉を大事にしながら、個性を出しましょう!ということ。後半部分は具体的にお話の内容なども聞いてますので、お聞きください。


●インタビュー後半

藤原:大阪に伝わる昔話には、どんなものがあるのですか?
村田:一番ポピュラーなのは、淀川に架かる長柄橋の人柱のお話。面白いものですと、天満のとらやんや、阿弥陀池のタヌキのお話とか。また、大阪府下のものでは、犬鳴山に伝わるお話や、くらわんか舟のお話などがあります。

藤原:せっかくですので、よろしければ、大阪を舞台にした昔話を村田さんの大阪弁でお願いしていいですか?
村田:はい、分かりました。じゃあ、『ムカデのおつかい』を聞いていただきたいと思います。


代表
村田せつ子
さん

毎年開催される、語り手講座の
修了発表会での集合写真

語り手講座の講師、
錺栄美子(かざり えみこ)さん

会員の堀谷エミ子(ほりたに えみこ)さんは、学校を中心に活動。
写真は難波元町小学校

東成区図書館で行われた
『冬の子ども会』でのお話会

高齢者グループホーム
『ときめき苑』でのお話会。
時には風船などを使ってみなさんを
楽しませています




『ムカデのおつかい』
昔々、ぎょうさんの虫が集まって遊んでたんやて。けど、急に一匹の虫が「あー、お腹痛い、お腹痛い」と言い出した。こりゃ大変や、お医者はん呼んで来なあかん、ということになって、誰を使いにやったらええやろうか、いうてみんなで相談してたら、歳とった虫が、「そらー、そんなんやったらムカデがええ。足がぎょうさんあるよってに、早よ行けるにちがいない」。そういうことになって、ムカデがお医者はんを呼びに行くことになった。その間、他の虫たちは背中さすったり、お腹さすったりして、一生懸命看病してた。けど、いくら待っても待っても、お医者はんは来えへんし、ムカデも帰って来えへん。おかしいなあ思て2〜3匹の虫が玄関まで見に行ったら、ちょうどムカデがわらじを脱いでるとこやった。「あームカデどん、大変やったやろう、ご苦労さんやったなあ。けど、お医者はんはどこにいてはんねん?」「何言うてんねん。わしはまだ、わらじ履いとるとこやがな。医者なんかどこにもおるかいな」そう言われて、ようじーっと見てみたら、なんとムカデは、わらじ脱いでるんやのうて、一生懸命まだ、わらじを履いてるとこやったんや。足がぎょうさんあるよってに、早う行けると思たんやけど、それが大きな間違いやったんやな。こんで、おしまい。

藤原:紙芝居を読んでもらっているみたいに、情景が思い浮かぶようですね。
村田:そんなん言っていただいたら、うれしいです。

藤原:これからも『なにわ語り部の会』続けていってください。
村田:これをご縁にみなさんとの輪が広がって行ければありがたいです。

藤原:ありがとうございました。
村田:ありがとうございました。



●スタジオ

藤原:突然「お話してください」とお願いしたんですけど、どうでした?

松本:話されている口調も、語り部風の口調に変わりますね。全然、間とか呼吸が違いますしね。

藤原:そうなんですよ。もう本当にすーっと入っていきました。現在は、図書館や高齢者などの施設で語りをされていますが、それとは別に、平野区の小学校2校でも、お話をされています。これも7〜8年続いているそうです。語り部の口調は、普段の日常会話とまた違うので、「反応はどうですか?」ってお聞きしたら、大阪に伝わる昔話なので、子どもたち自身が普段遊んでいる場所、行ったことがある、知っている場所が出てくる。そうしたら、「ここ知ってるー」とか、「ああ、知ってるわ、そこーっ!」といった反応がちゃんと返ってきて、目も爛々と輝き出すそうです。シンプルな語りですから、一人、一人に目を合わせていかれるんですよね。子どもが、クライマックスになればなるほど、必死になって聞いてくれているのが、すごく伝わる。そういう時にやり甲斐を感じるとおっしゃっていました。

松本:また、こういうのは語り継いでほしいですね。

藤原:本当にそうですよね。『なにわ語り部の会』について、連絡先などは、大阪ボランティア協会へお問い合わせください。


お問い合わせ/
大阪ボランティア協会
TEL 06-6465-8391


● 取材を終えて、感じたこと

実際に『ムカデのおつかい』を聞かせてもらい、『なにわ語り部の会』の魅力をより感じることができました。
BGMもなく、絵もなければ本を読むわけでもない。頭で覚えたストーリーを相手の目を見ながら語りかけるように話すことは、朗読ともまた違うんですよね。
何に頼ることもなく話を聞いてもらうには、かなりのテクニックを要します。その話し振りから、優しさなど人柄が、垣間見える思いがしました。


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