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毎回、大阪を拠点に活動しているNPO法人やNGO、ボランティア団体、そして大阪のいろいろな地域で活躍している方やその地域の活動内容を通して、大阪の「ひと」や「まち」の魅力を発見していきます。
たくさんの人に知ってほしい大阪を魅力いっぱい、情報満載でご紹介していきますので、みなさんご期待ください。

2006年9月16(土)放送

障害者や子どもたちと共にみんなで
楽しくゴスペルを。
〜NPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』〜

今回は、ゴスペルシンガーのJAYE公山(ジェイ こうやま)さんが設立したNPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』の活動をご紹介します。JAYE公山さんは、元々、バブルガムブラザーズのレコーディングや世界的ミュージシャンの日野皓正(ひの てるまさ)バンドに参加されたり、ラジオ大阪の番組でも人気パーソナリティーとして活躍されていました。一方で、多忙な毎日の合間を縫って、心や体に障害のあるみなさんと一緒に歌を歌う活動をNPO法人として続けられています。活動を始めたきっかけなど、詳しいお話を伺います。



●インタビュー前半

藤原:最初に、ゴスペルというのがどんな音楽なのか、教えていただけますか?
公山さん(以下、公山・敬称略):“ゴッドスペル”つまり“神様の言葉”っていうのが語源ですが、“福音(ふくいん)”すなわち“素晴らしいグッドニュース”という意味もあります。だから、早い話が、聞いて歌って元気になったり、明るくなったり、前向きにポジティブになれる、そういう曲が多いですね。

藤原:ジェイさんご自身は、『ジェイ&ジェイズ・マス・クワイア』というユニットで、音楽活動をされているんですよね。そして、それと別に、NPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』という組織を作られているということで、こちらは、どういった活動をされているんですか?
公山:このNPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』というグループには、ゴスペルという音楽をもって施設や学校、病院などに癒しをもたらすという、定款があります。その定款の通り、いろいろなところに行って、障害者の方や学校の子どもたちと一緒にゴスペルを歌うという活動をしています。

藤原:では、本来のゴスペルの持つ意味、“みんなで楽しく”が含まれているわけですね。
公山:そうですね。図らずもそういうことですね。

藤原:具体的には、どんな人たちと、どれぐらいのペースで楽しんでいるのですか?
公山:現在は、大阪府寝屋川市にある『みつわ会』という精神障害者の方々の施設、それから、奈良の広陵町に『きらきらAngels』という、生まれながらにして先天性免疫不全症候群という病気を持った子どもたちとお母さんの会があり、毎月1回ずつ定期的に、ほぼボランティア活動として、歌をコーチングしたり、まあコーチングというか「みんなで歌おうよ」みたいなノリですけども、ずっとやっています。

藤原:向こうの方も楽しみに待っていらっしゃるんでしょうね。
公山:もうすごいですよ、ほんとに。めっちゃ楽しいですしね、自分もミュージシャンが本業ですから、ツアーも多いし、旅が多い仕事ですけど、その中の一つのアクセントとして、大阪に月1回戻って来たら、必ず「ここに行くぞ!」みたいなね、そういう一つの節目になっていますね。

藤原:いつごろ、どんなきっかけで、このような活動を始められたのですか?
公山:さっきも「図らずも」って言いましたけど、元々自分自身は、こういうボランティア活動とか、心や体の傷んだ人のところに行くなんてことはできへん、俺みたいな人間ができるわけがない。ある意味、お金を持っている人が、余暇でやるもんとか、余裕のある人がやるもんやと思っていたんですよ。ところが、ある時、1998年か1999年頃、うちのグループが40名ぐらいいた時にその中の一人が、精神障害を発病しましてね。

藤原:グループの中に?
公山:そうです。結構仲が良くて、好きな奴やったもんですから、その本人が「なんか精神障害発病してん。お医者さんにそう診断されてん」って言うんです。でも、よく分からんかったんですよね、精神障害っていうのがね。

藤原:身近に今までいなかったら、分からない。
公山:「なんやろな、それ?」という感じだったんです。ところが、その人の病状がどんどん、どんどん進んでいくにつれて、薬をたくさん飲むようになり、起きれなくなって、約束の時間に来れない。「どうしたらこいつと付き合えるやろ?」と悩んでいたんです。

藤原:そうですよね。
公山:その時にたまたま、あるところで歌っていましたら、ある人に声を掛けられて、「ジェイさんの歌っていらっしゃるゴスペルっていう音楽を、うちの施設へ来て歌ってもらえないでしょうか」と。で「どちらの方ですか?」って聞いたら、「精神障害の施設の者なんです」と。「あっ、ここに行ったらなんか分かるかもしれんな」っていう、そういう本当に不思議な一つのきっかけがありました。


●スタジオ

藤原:話をお聞きしていても、本当に心の温かい方、元気な方っていうのが、すごく分かるでしょう?

松本:普段ご紹介しているNPO法人の代表の方と、ちょっとノリもね、しゃべり方自体も違いますけどもね。


代表理事
JAYE公山さん

精神障害者施設『みつわ会』の
ゴスペルサークル
『ケロちゃんず』とのライブ

『ジェイズ・マス・クワイア』
『みつわ会』のメンバーと、
『きらきらAngels』の
子どもたちとお母さん方の集合写真

プロゴズペルシンガーとしての
JAYE公山さん。子どもたちに見せる
笑顔とは一転、やさしさの中にある
“強さ”がにじみ出ています



藤原:ジェイさんはプロとして、30年程前からずっと音楽活動をされています。当時はストリートで歌っていらっしゃったのですが、こうしたきっかけから、今のような活動をされています。実際にジェイさんが歌われるゴスペルって、私のイメージしているものとは、どうも違うみたいなんです。ジェイさんの場合は、みんなに分かってもらえて、共感してもらえるためには、日本語で歌わないと駄目って思われて、ほとんどが日本語です。詞も曲もご自身で作っていらっしゃるので、精神障害者の方とふれあう中から生まれる曲っていうのも、その時その時で違ってきますし、聞いている方も本当に共感を覚えてしまう。

松本:ある歌を日本語に訳してじゃないんですか。

藤原:本当のオリジナルで、そこの中にいる人しか分からないような話とかも出てくるみたいです。2001年12月25日にNPO法人の認可を受けられたのですが、ジェイさんが施設に直接出向いて、精神障害者の子どもたちに歌を教えて一緒に歌うのが、楽しいんですって。最初はちょっと離れていた子どもたちでも、歌を共通項にどんどん仲よくなれる。そういうのが手に取るように分かっていく感覚が楽しいっていうふうにおっしゃっていました。そして、今後も続けていきたいと。さあ、後半部分もますます忙しいジェイさんのお話を聞いています。



●インタビュー後半

藤原:NPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』の活動をしていて、楽しいなとか、よかったなと思うところは、どういうところですか?
公山:楽しいなっていうのは、子どもたちの会をやってるんですが、出会った時は3歳とか4歳ぐらいだった子どもたちが、今はもうやり始めて7年目ぐらいなんで、10歳とか11歳ぐらいになっています。そうすると、体が弱い子どもたちですけれども、当然こっちの問いかけに対して、最初は反応がないけど、段々、反応してくれるわけですよ。歌っていたら、にこっと笑ってくれたりとか、帰りがけにバイバイって手を振ってくれるようになったりとか、名前を呼んだら反応するようになったりとか。昔はそうじゃなかったですけど(笑)、今は子どものことが、すごく好きになって。子どもたちとふれあうことで、「自分は子どもが好きやったんやなあ」っていう発見があったんです。“可愛いな”という気持ちが出てきた時には、自分でも不思議だったんですけども、やっぱり楽しいですよね。

藤原:ご自身の中で、自分の違う発見があったわけですか?
公山:そうですね。どんどん自分の中で、思いもしなかった新しいものが、芽生えて来たというのか。そういう人との出会いによって自分を発見するっていうのはありましたね。

藤原:ジェイさんのラジオ番組を聞いていましたら、言葉も、話ぶりも大阪のノリといった感じなんですが、『なにわゴスペルフェスティバル』のプロデューサーもされているんですね?
公山:はい、そうです。

藤原:大阪のノリと、ゴスペルのノリって、共通する部分ってあるんでしょうか?
公山:気さくに、格好つけずに楽しめるっていうのが、大阪人気質やと思いますが、そういうところでは、合ってるんちゃうかなあと思うこともありますね。

藤原:私、正直ね、ゴスペルっていうのが、ちょっと格好つけている、格の上の音楽みたいなイメージで思っていたんですよ。それは間違いなんですね?
公山:まあそういうふうにやっている人もいますけど、俺はやってないですよね(笑)。ものすごいベタな、本当に一般の方が楽しめる音楽やと思ってますけどね。

藤原:本当にそうでしょうね。



●スタジオ

藤原:施設のほうに出向いてという活動が主なんですが、施設から一歩出て、一緒にライブをされることもあるのだとか。好評だったのが去年の12月、『OSAKA光のルネッサンス』のオープニングイベントで、一緒にみんなで歌ったそうです。中之島の市役所を中心に、あのキラキラーッと盛り上がる中で、奇麗な歌声が響き渡るという。今年もされるそうですけどね。

松本:なるほど。

藤原:奈良の『きらきらAngels』をはじめ、いろいろなメンバーで今年も歌われる予定をされていますから、ぜひ、みなさんお出掛けいただけたらなと思います。JAYE公山さんは本当に忙しい方で、「今後の予定は、どうなってるんですか?」って聞きましたら、「この後は、福岡へ行って、島根へ行って」とかいろいろおっしゃるんですよ。

松本:その忙しい合間に、きっちりとこういう活動をされているのですね。

藤原:そうなんです。

松本:公山さんがおっしゃっていたように、ただ単に喜びじゃなくて、新しい自分も発見させてくれるから、次の活動のパワーにもなるんじゃないですかね。

藤原:きっとそうですね。新しいものを発見されるのがお上手で、自分のものとして吸収したり、また人に与えるというのが、すごく得意な方だという印象を受けました。

藤原:NPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』の活動について興味のある方、また、NPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』にコンタクトを取りたい方は、公式ホームページにアクセスしてみてください。ちなみにジェイさんは、インタビュー当日、喜連瓜破から17km、自転車で来てくれました(笑)。

松本:そうなんですか。

藤原:はい、とってもパワフルな方です。


お問い合わせ/
http://www.jayes-net.com



● 取材を終えて、感じたこと

ジェイさんの話し振りはとても魅力的で、ゴスペルや活動に対する思想など、聞けば聞くほど惹かれる方でした。ゴスペルをもっと身近に、できるだけ多くの人に感じてもらいたい!と、日本語で作詞され、タイトルも『君への贈り物』や『命の輝き』など、メッセージが込められた曲ばかりだそうです。音楽は、歌い手や作り手の心が直に伝わりますよね。ジェイさんのゴスペルは、まさに心に響くものなのだと思います。


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