●インタビュー前半
藤原:最初に、ゴスペルというのがどんな音楽なのか、教えていただけますか?
公山さん(以下、公山・敬称略):“ゴッドスペル”つまり“神様の言葉”っていうのが語源ですが、“福音(ふくいん)”すなわち“素晴らしいグッドニュース”という意味もあります。だから、早い話が、聞いて歌って元気になったり、明るくなったり、前向きにポジティブになれる、そういう曲が多いですね。
藤原:ジェイさんご自身は、『ジェイ&ジェイズ・マス・クワイア』というユニットで、音楽活動をされているんですよね。そして、それと別に、NPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』という組織を作られているということで、こちらは、どういった活動をされているんですか?
公山:このNPO法人『ジェイズ・マス・クワイア』というグループには、ゴスペルという音楽をもって施設や学校、病院などに癒しをもたらすという、定款があります。その定款の通り、いろいろなところに行って、障害者の方や学校の子どもたちと一緒にゴスペルを歌うという活動をしています。
藤原:では、本来のゴスペルの持つ意味、“みんなで楽しく”が含まれているわけですね。
公山:そうですね。図らずもそういうことですね。
藤原:具体的には、どんな人たちと、どれぐらいのペースで楽しんでいるのですか?
公山:現在は、大阪府寝屋川市にある『みつわ会』という精神障害者の方々の施設、それから、奈良の広陵町に『きらきらAngels』という、生まれながらにして先天性免疫不全症候群という病気を持った子どもたちとお母さんの会があり、毎月1回ずつ定期的に、ほぼボランティア活動として、歌をコーチングしたり、まあコーチングというか「みんなで歌おうよ」みたいなノリですけども、ずっとやっています。
藤原:向こうの方も楽しみに待っていらっしゃるんでしょうね。
公山:もうすごいですよ、ほんとに。めっちゃ楽しいですしね、自分もミュージシャンが本業ですから、ツアーも多いし、旅が多い仕事ですけど、その中の一つのアクセントとして、大阪に月1回戻って来たら、必ず「ここに行くぞ!」みたいなね、そういう一つの節目になっていますね。
藤原:いつごろ、どんなきっかけで、このような活動を始められたのですか?
公山:さっきも「図らずも」って言いましたけど、元々自分自身は、こういうボランティア活動とか、心や体の傷んだ人のところに行くなんてことはできへん、俺みたいな人間ができるわけがない。ある意味、お金を持っている人が、余暇でやるもんとか、余裕のある人がやるもんやと思っていたんですよ。ところが、ある時、1998年か1999年頃、うちのグループが40名ぐらいいた時にその中の一人が、精神障害を発病しましてね。
藤原:グループの中に?
公山:そうです。結構仲が良くて、好きな奴やったもんですから、その本人が「なんか精神障害発病してん。お医者さんにそう診断されてん」って言うんです。でも、よく分からんかったんですよね、精神障害っていうのがね。
藤原:身近に今までいなかったら、分からない。
公山:「なんやろな、それ?」という感じだったんです。ところが、その人の病状がどんどん、どんどん進んでいくにつれて、薬をたくさん飲むようになり、起きれなくなって、約束の時間に来れない。「どうしたらこいつと付き合えるやろ?」と悩んでいたんです。
藤原:そうですよね。
公山:その時にたまたま、あるところで歌っていましたら、ある人に声を掛けられて、「ジェイさんの歌っていらっしゃるゴスペルっていう音楽を、うちの施設へ来て歌ってもらえないでしょうか」と。で「どちらの方ですか?」って聞いたら、「精神障害の施設の者なんです」と。「あっ、ここに行ったらなんか分かるかもしれんな」っていう、そういう本当に不思議な一つのきっかけがありました。
●スタジオ
藤原:話をお聞きしていても、本当に心の温かい方、元気な方っていうのが、すごく分かるでしょう?
松本:普段ご紹介しているNPO法人の代表の方と、ちょっとノリもね、しゃべり方自体も違いますけどもね。
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代表理事
JAYE公山さん
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精神障害者施設『みつわ会』の
ゴスペルサークル
『ケロちゃんず』とのライブ
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『ジェイズ・マス・クワイア』
『みつわ会』のメンバーと、
『きらきらAngels』の
子どもたちとお母さん方の集合写真
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プロゴズペルシンガーとしての
JAYE公山さん。子どもたちに見せる
笑顔とは一転、やさしさの中にある
“強さ”がにじみ出ています
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