●インタビュー前半
藤原:NPO法人『ハドル』というのは、どんなことをしている団体ですか?
西村さん(以下、西村・敬称略):私たちは、洪水や土砂災害の防止の啓発活動に取り組んでいます。また、活動を通じて、障害のある方や高齢者が働ける場を広げる支援活動も行っていきたいと思っています。
藤原:NPO法人ですよね。
西村:はい。
藤原:そうしたことは、普通、行政がすることでは?
西村:“防災イコール行政のすること”っていうふうに、一般の方はよく思われたりしますが、実は最近“共助”・・・共に助けるという言葉があります。これは行政も頑張るんですが、私たち住民も一緒に協力して、防災あるいは減災・・・減らす災害ですね、その取り組みをしていこうということです。
藤原:行政のほうから、よく防災情報のマップみたいなものが届きますけれども。
西村:そうですね。行政も頑張っているのですが、残念ながら、せっかくの防災情報も、紙面が大き過ぎるとか、内容が難しいということで、そのままゴミ箱に捨てられてしまうケースもあるみたいです。それをNPOの立場で、冷静に見つめ、行政に対して、もっとこのようにすれば、防災の情報が分かりやすく、地域の住民のみなさまに伝わっていくというようなことを提案していくのが、私たちの活動と考えています。
藤原:住民の視点に立った行政への提案や、行政との連携をされているということですね。行政機関抜きで、『ハドル』だけでしている活動もあるのでしょうか?
西村:例えば出前講座は、純粋に『ハドル』だけで活動しています。市民活動のイベントで、障害者の団体や高齢者の団体と一緒にブースを並べ、休憩所感覚でブースに立ち寄っていただいた人々に、CGやアニメーションなどを使って、分かりやすく防災の情報の提供を心掛けています。
藤原:防災って、頭では分かっていますが、情報が難しすぎて、なかなか噛み砕いて言ってもらう機会がないですから、分かりやすく教えてもらうというのは、いいですね。
西村:そうですね。情報の受けて側の視点に立って、言葉を選びながら説明していくことが一番大切なことだと思っております。
●スタジオ
藤原:福島区にNPOプラザという建物があり、その中にはNPO法人がたくさん集まっていて、そこでお話を伺いました。西村さんは、現在40歳で、元々、大手建設コンサルタント会社の社員でした。受注者である建設コンサルタントという立場で、「こう思ってるんだけど…、こうしたいんだけど…」と言いたいけれど、発注者である国や自治体は「でもそこまでしなくていい」という。そのあたりにもどかしさを感じられて、NPO法人を設立されました。そして現在、いろいろなところに出向いて教えていらっしゃいます。お話にもありました出前講座では、日本だけではなくタイにも行って、子どもたちに砂防の出前講座をされたこともあるそうです。もっといろいろなところに行って、一人一人にもっと細かく教えていってあげたいとお話されていました。後半は今後の展開などについて、伺っています。
●インタビュー後半
藤原:今後は、NPO法人『ハドル』として、どのようにしていきたいとお考えですか。
西村:基本方針は先程申し上げましたように、人を集めるのではなくて、集まるところに出向いて行って、分かりやすく情報を伝えていくという考え方にあります。先程の災害時の要援護者対策に関してですが、防災上では、災害時要援護者は守られるべき立場と考えられるのが一般的だと思いますが、これはまったく対立する立場ではないと思うんですね。平常時における防災の啓発活動などで、例えばマップを作製して、それを元に啓発活動をすることは可能だと思っております。ですから、守られるべきではなくて、自ら身近な危険箇所を知る、避難場所を知る、そして平常時には啓発活動に取り組んで人間関係を構築し、いざという時には、助けてもらえる。そうした地域社会が形成されればと考えています。
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代表理事
西村公志さん
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『たかつきフェスタ・2006』の
NPO参画市場での様子
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箕面市で開かれた『平和市』での様子。
まだまだ認知度が低い、大阪の危険箇所
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全国統一防災訓練では、柏原市で
災害についての講義を行いました
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