ホームページでは、大阪が大好きな私、藤原宏美がNPO法人やNGOなどの団体をご紹介していきます。今回は、「適塾」の緒方洪庵の思いを継承し、大阪の歴史文化を語り継いでいく活動をされている「熟塾」代表の原田彰子さんにお話をお聞きします。
Q.この「熟塾」を始められたのは、いつごろ、どんなキッカケからなんですか?
「もう12年前になるんですが、高橋正毅(まさき)さんという、中国政府が認定した第一号の外国人弁護士がおられたのですが、その先生に誘っていただき、神戸の方に勉強会に行くようになりました。それからこういう手作りの講座っていうのに興味を持ち始めたんですね」
Q.手作りの講座、ということなんですが、どういったものなんですか?
「いろんな文化教室などがありますが、自分たちが興味を持ったことに対して講師をお招きし、お話を聞くという形です。みんな仕事を持っていますので、その合間をぬって、勉強している感じですね」
最初は神戸で活動していたと聞きましたが、現在は大阪で活動されているんですね。
「そうですね。私はずっと大阪の八尾に住んでいるんですが、大阪に生まれ育って、意外に知らないのが地元のことだと思うんです。そこで少しずつ勉強していくと、わからないことがどんどん出てきて、講座がまたどんどん増えていって・・・気がつけば開講から足掛け13年が過ぎていました」
それにしても「熟塾」という名前がおもしろいですね。
「この名前の名付け親は、作家の藤本義一先生です。『大阪には緒方洪庵の適塾がありました。そこで、適塾を目指したいんですが、先生、名前を付けてください!』って言うと、だいぶ考えて頂いた後に『熟塾はどうや』って言われまして、『えっ?ジュクジュクですか?』『違うがな。熟する塾やがな』って。初めは違和感があったのですが、いい名前だと思うようになりました。時はとても速く流れ、年齢はすごく熟しやすいけれど、心はなかなか熟しません。本当の意味で中身の熟した人間が今、日本には居なくなったんじゃないかなって思うんです。熟するのと腐るのは紙一重なんですね」
Q.確かにそうかもしれませんよね。そんな「熟塾」の講座では、例えばどんな方のお話がありましたか?
「最近では直木賞作家の難波利三先生にお願いして、先生の作品である『大阪希望館』という、終戦後の大阪駅にあった実際のお話を元にした小説についての思いを語っていただきました。またこの作品は、7月10日の午後1時30分と5時からワッハ上方ホールで芝居公演もされています。それを見に行く前に勉強しようということで原作者の難波利三さんと『あんがいおまる一座』の方々のお話もありました」
Q.どうして、大阪にこだわった活動をしているんですか?
「やはり私が大阪出身だからですね。そこでやっぱり日本人が日本のことを語っていかなかったら、誰が日本の事を語っていくのかというのと同じで、大阪人が大阪のことをが語らなかったら、誰が語っていくのかという思いがありました。私たちが住んでいる大阪には本当に素晴らしい“熟した”先人がこの大阪を舞台に活躍されていたということを学ぶ中で、『生きる心の杖』みたいなものを見つけられたら、という思いがあるんです」
本当にそういう伝承ということは、とても大切なことですね。
「そうですね。例えば大阪の芸能なら、吉本のお笑いも素晴らしいけど、文楽や近松門左衛門、西鶴についても大阪人が語り、伝えていく。そしてそういうことを学んでいくことで、暮らしが豊かになるのかなと思うんです」
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熟塾
代表
原田さん |
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幕末の洋学の研究者で有名な緒方洪庵が開いた「適塾」 |
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適塾の横の公園にある緒方洪庵像
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介護犬チャリティー講演会 |
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浴衣で楽しむ桂文枝師匠講演会と高津宮参拝と空堀探索 |
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