ホームページでは、大阪が大好きな私、藤原宏美がNPO法人やNGOなどの団体をご紹介していきます。今回は、天王寺区下寺町(したでらまち)にあります應典院(おうてんいん)というお寺を拠点にアートイベントの開催や地域コミュニティに関するいろいろな活動をされています「應典院寺町倶楽部(おうてんいんてらまちくらぶ)」事務局長であり、應典院の主幹でもある秋田 光彦(あきた みつひこ)さんにお話をお伺いします。
Q.應典院の本堂ホールにお邪魔しております。この場所は、お芝居やイベントに利用されるということで、照明などの設備が整っていて、お寺の中にいるということを忘れてしまうような空間です。まずはこの本堂ホールについて、教えていただけますでしょうか?
「お見かけの通り、ちょっと本堂には見えないと思います。直径が14m、天井高7mのおよそ正円形の丸いドーム型の本堂になっていまして、収容人数は約140人です。畳ではありませんので、皆さんは土足のまま気軽に上がっていただけるようになっています。単なる開かれた場所で『誰でも使ってね』という形では、そんなに上手にみんなが使えるわけではありません。本当に交流ということを果たすためには、いろんなプログラムを上手に作ったり、あるいは皆さんにそれを上手くつないだりという中継機能がすごく大事だと思います。実はこのお寺のしている仕事の多くは、そういった企画を考えたり、あるいは皆さんにそれをつないだり、時には広報したりということをしています」
Q.ここ應典院は、冠婚葬祭にも利用されることは当然のことですが、「應典院寺町倶楽部」の活動とは関係があるのですか?
「冠婚葬祭の内、お葬式はしません。『お葬式をしなくて、それがお寺か!』とよく言われますが、お寺の役割は、決して昔からお葬式専門ではありませんでした。このお寺は檀家さんがいません。ですから、お葬式をしません。その代わりに、いろんな心の文化を発信していこうというのがそもそもの原点です。そのためには当然、応援してくれる人、支援してくれる人が必要ですよね。そこでできたのが應典院のファンクラブであるところの『應典院寺町倶楽部』です」
Q.具体的にはどのような活動をされているのでしょうか?
「たくさんありますので、全部をご紹介はできませんが、例えば毎年秋から冬にかけて、『コモンズフェスタ』というイベントを開催したり、ほぼ毎月『いのちと出会う会』を開催したりしています。また演劇祭や講演会をやったり、皆が集まって飲み会をする交流会をしたりすることがあげられます」
Q.サークル活動のような、そんな雰囲気がありますね。では、まず「コモンズフェスタ」について教えていただけますでしょうか?
「『コモンズフェスタ』は、平成11年から始めまして、今年で7回目になります。“コモンズ”というのは、コミュニケーションとかコミュニティのコモンズなのですが、これは“共に”、“一緒に”という意味です。市民の中で、特に元気なNPOの皆さんやアーティストの皆さんと一緒に文化祭をやろうというのが『コモンズフェスタ』の大きな主旨です。『コモンズフェスタ』開催中は、1,000名以上の方が参加する大きなイベントです」
Q.では続いて、「いのちと出会う会」について教えていただけますでしょうか?
「『いのちと出会う会』は、毎月第2木曜の晩、6時30分からこのお寺の小さなお部屋で開催しています。医療や宗教に限らず命に関わる、あるいは命を預かる様々なゲストの方に来ていただいてお話していただきます。例えばこの間いらっしゃったゲストの方は、寝たきりのお母さんを10年以上もの間ずっと介護をしてきて、その介護の中から学び感じた様々なことを話していただきました。決して何かを教えてもらうということや、何かを勉強しなければいけないということではなく、みんなが持っている命の体験を分かち合うということが、『いのちと出会う会』の1番の特徴だと思います」
Q.「應典院寺町倶楽部」の発足の経緯について教えていただけますでしょうか?
「この應典院は、文化の発信基地としていろんな活動をしていますが、お寺さんが1人で頑張っても何もできません。いろんな方とコラボレーションしていくことが必要になってきます。そのコラボレーションをしていく時にその人たちをきちんと受け入れていき、つないでいくことを目的として、お寺とは違うもう1つの受け皿として、『應典院寺町倶楽部』という市民団体、NPOを発足させました」
Q.どのような方たちが何名くらいいらっしゃるのでしょうか?
「会員は、現在約200名くらいいます。その中でいわゆる役員さんが11名いらっしゃいます。この11名の顔ぶれはユニークで、会社の経営者やお医者さん、学生さんなどいろんな職種の方がいます。大人がこのお寺を使って、何か遊んでやろうということで参加してもらっています」
Q.今後の活動目標や方針について教えていただけますでしょうか?
「現在もそうなのですが、このお寺は様々な市民活動や芸術文化活動を支援する“NPOを支援するNPO”という言い方でこれからも活動を続けていきます。最近この界隈のまちづくりの方たちとも繋がり始めています。應典院という1つの場所がどんなに元気でも、町全体が元気になるとは限りません。元気な場所や拠点がつながることで、点から面へエネルギーを、パワーを広げていこうと考えています」
Q.最後に秋田さんにとって、大阪の好きなところ、大阪はこうでないとあかんというところを教えていただけますでしょうか?
「今、大阪が元気がないと言われていますが、こと芸術に関して言うと、芸術とは、要するに変でわかりにくいものなんですよね。 “なんかちょっと変わってんのちゃうか”というのが多いのですが、その“変わってんのちゃうか”というのが面白いやないかと言ってもらうところが、逆に大阪の良さでもあったと思います。しかし最近は、テレビや東京発のいろんな文化というものに影響され過ぎてしまって、大阪オリジナルのもの、大阪が独自に発見して大阪で育てようという元気さが少し減退しているように思います。昔の大阪は、お金持ちが“ほな、やってみなはれ!”といろんなサポートをしてくれました。いろんな意味で、みんなの才能や試みを応援でき、一緒に育てていける町になって欲しいと思いますね」
「應典院寺町倶楽部」の入会条件には、年齢や性別、お住まいなど、まったく制限がありません。企画を考えたい、運営のお手伝いをしたい、イベントの参加目的のためだけに入会したいなど、その関わり方というのは個人の自由です。入会方法は、資料を請求していただき、必要事項を書いてお申し込みください。年会費は学生が2,000円、一般は5,000円です。
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應典院寺町倶楽部
事務局長
秋田さん |
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とっても変わった建物の應典院 |
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土足のまま気軽に入っていただける
本堂ホール |
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本堂ホールでシンポジウムも行われます
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素敵な内観 |
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2階にある「気づきの広場」からは
墓地や緑を見られます |
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点から面へパワーを広げていきたいと語ってくださいました |
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