ホームページでは、大阪が大好きな私、藤原宏美がNPO法人やNGOなどの団体をご紹介していきます。今回は、利用者の目で、地下鉄や天王寺動物園の実地調査をして、それを大阪市交通局や天王寺動物園に提案することにより、様々な改善を実現させている大阪市都島区の市民団体「おんなの目で大阪の街を創る会」代表 小山琴子(こやまきんこ)さんにお話をお伺いします。
Q.主婦の集まりから始まったという生粋の市民団体だそうですが、この会を始めたきっかけとはどのようなことでしょうか?
「きっかけは、大阪市立婦人会館の女性社会セミナー「やさしい都市(まち)へのアプローチ 〜女性のための都市環境講座〜」の受講者の中から、もう少し何かしたい、勉強をしたいということで、13名が集まりました。現在、活動を始めてから12年が経つのですが、主な活動は2つあります。1つは、大阪の地下鉄調査です。大阪市の地下鉄というのは全部で111駅あるのですが、それを全部調査しまして、大阪市交通局に提案書を出しました。もう1つは、大阪市天王寺動物園を利用する側に立った調査をしまして、同じく提案書を出しました。その2つが主な活動になります」
Q.活動の1つである地下鉄に注目された理由と調査内容を教えてください。
「雑談をしている時に当時70歳のメンバーが「大阪の地下鉄は大阪を網羅していて、ものすごく便利なんやけど、階段がとても大変で、私はひざが弱いからもう地下鉄は使こうてへん。バスしか利用してへん」と言ったのです。その70歳のメンバーが利用している駅だけが大変なのか、111の駅全部が大変なのか、みんなで調べてみようというのが始まりです。全駅を調査するのに丸2年かかりました。具体的には、実際に車椅子に乗って、家を出てから駅の券売機で切符を買って、改札を通って・・・・・・、という順路で97の調査項目を設定して調査しました」
Q.地下鉄の改善された具体例というのは、どういったものがあるのでしょうか。 「主なものとして、1つ目は拡幅改札と呼ばれている改札です。駅員さんが居る近くの改札で、通常、1人が通れるような幅になっています。車椅子を使っていらっしゃる方が通る時は、必ず開けてくださいと駅員さんにお願いしなければなりませんでした。それはおかしいと思い、改札を開けたままにしていただけるように提案しました。車椅子を使っていらっしゃる方も以前から同じことを大阪市交通局にお願いをしておられました。また交通局もその要望を受けて、大規模改善の時には拡幅改札にすることをお考えになられていたようですが、その改善が私たちの提案によって早まったと思います。2つ目は車椅子対応のトイレの磨りガラスです。以前はもう少し中の様子が透けて見える感じでした。それは安全のためでもあったらしいのですが、ご利用者の気持ちを考えて、今はもう少し中の様子が見えにくくなっています。3つ目は天神橋筋六丁目駅の案内板です。地下というのはどこも同じように見えてわかりにくいので、地上への案内などを手書きで記載していただきました。初めて来た方にもわかりやすくなっていると思います。4つ目はトイレットペーパーです。提案書を出した1999年時点では、トイレットペーパーを設置したら、すぐに持ち去られるという理由でトイレには全く設置されておりませんでした。しかし5年かけて、2004年にトイレットペーパーが地下鉄全駅に設置されました」
Q.次に天王寺動物園で改善された具体例というのはどういったものがあるのでしょうか? 「地下鉄を調べたという繋がりから、動物園関係者の方が「利用者は、動物園に対してどう思っているのかを知りたいので、調べてもらえませんか」と声を掛けていただきました。
シーズン毎の平日と休日に1000名の方にアンケートを取らせていただき、それを分析して提案しました。
アンケート調査の結果、飼育係さんの声が聞きたいという利用者の声がたくさんありました。そのことを提案させていただきましたら、飼育係さんが土曜日と日曜日に動物舎の前に立ち、その動物のことをわかりやすく説明していただけるようになりました。また手書きの案内板が設置してある動物舎があるのですが、それは飼育係さんが子どもさんにも分かるようにと手作りで作っています」
Q.今後の活動目標をお聞かせください
「地下鉄については、今後もより良くしていくために、提案書というものがあるのですが、どんどんアイデアを見直して、新しく改善していきたいと思います」
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おんなの目で大阪の街を創る会
代表
小山さん |
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とても分かりやすい案内板です |
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地下鉄全駅に設置された
トイレットペーパー |
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追跡調査の様子 |
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「子どもにも分かるように」と
手作りのかわいい案内板です |
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