ホームページでは、大阪が大好きな私、藤原宏美がNPO法人やNGOなどの団体をご紹介していきます。
記念すべき第1回は、大阪市中央区谷町六丁目にあります今年グランドオープンしたばかりの『直木三十五(なおきさんじゅうご)記念館』にお邪魔しました。大阪に拠点を置き、大阪市中央区の空堀に残る長屋を保存・再生するなどの町づくりをされていらっしゃる『からほり倶楽部』代表理事で建築家でもあります六波羅雅一(ろくはらまさかず)さんにお話をお伺いします。
Q.『からほり倶楽部』とは、どんな活動をされている団体なのでしょうか?
「空堀商店街界隈に残る長屋を保存・再生するなどの町づくりをしている市民団体です。今年2月24日に『直木三十五記念館』をグランドオープンさせたことでもマスコミなどで取り上げられ、注目を集めています」
Q.『からほり倶楽部』の発足理由とその活動内容を教えてください。 「空堀地区は長い歴史があり、からほり商店街周辺は戦災でも焼けず、現在でも古い長屋が数多く残っております。そのため住居環境を守るべき地域を意味する「第1種住居地域」に指定されています。私がこの町に住み始めた当時、貴重な長屋が壊されていくのを「もったいない」と感じながら見ていただけでしたが、友人などとお酒を飲んでいる時に、軽い気持で長屋のことを話したところ、長屋を改修して再利用しようというアイデアが出てきました。そして2001年4月に「長屋再生プロジェクト」が発足しました。これが『からほり倶楽部』の始まりです。直接長屋の持ち主の方を説得して、長屋の改修を行いました。その後、今年3月現在までに合計6つの長屋を再生させました。例えば2002年には木造2階建ての長屋を改装して、現在、雑貨店や飲食店など5店舗が営業している2軒の長屋を使った再生複合ショップ『惣(そう)』、2003年には雑貨店やカフェ、貸し自転車屋など14店舗が営業している御屋敷再生複合ショップ『練(れん)』」です。そして2004年には、空堀の文化を紹介したいということと、もっと「住民との交流を」ということで手がけたのが『直木三十五記念館』のある『萌(ほう)』という複合文化施設です。
その他に『からほり倶楽部』の活動としましては、毎年10月下旬の土・日曜日に2日間開催され、およそ50組のアーティストが参加する「からほりまちアート」があります。歴史の長い空堀という町には、長屋の他に狭い路地や石畳など“昔のまんま”がまだまだ残されています。そんな町を舞台に若手芸術家や学生の作品を町のあちこちに展示します。その他にも民族楽器や舞踏の実演、落語会やフリーマーケットなど、アート展に併せたイベントも多数あり、毎回規模はグレードアップしており、昨年は2日間で約1万人の集客がありました。
このように『からほり倶楽部』は、戦災にも遭わなかった長屋を再生させることで、歴史ある空堀という町自体を活性化させ、そこから新しい文化を発信したいと考えています。これからもこの空堀を賑やかな町にするためにいろんなことをしていきたいと考えています。そしておじいちゃんも子供も商売をしている人も、みんな胸を張ってこの空堀をもっともっと自慢できる町にしていこうと思います」
Q.この記念館の主役である大正から昭和にかけて活躍した作家 直木三十五は、文学賞としての名前は有名ですが、その人物自体はあまり知られていないと思います。何か人となりが分かるようなお話はございませんか?
「一番変わっているのは、名前ですよね。三十五、これはもちろんペンネームで、本名は植村 宗一といいます。植という字の偏と旁を分けまして、直木にしたようです。学校は早稲田大学に通っていたのですが、途中で辞めるんですね。ところが卒業写真には載っているという……。親に怒られるのが、怖かったのかも知れませんね」
Q.『直木三十五記念館』をなぜ造ろうとお考えになったのですか?
「まずこの建物をどういう風にしようかという相談がありました。潰してマンションにするという方法もあったのですが、建物をこの状態で運営していきませんかと持ち主の方に提案させていただいたところ、持ち主の方が直木と同じ記念館の横にあった桃園小学校(現在は桃園公園)の卒業生で同窓会長さんということ、また直木がこの町に縁のある人物で、有名だがその人物像は意外に知られていないというところもこの記念館を作る意義と価値がありますし、住民との交流・文化の発信という理念からもこれ以上の素材はないと考え、この記念館を作ることにしました」
Q.『直木三十五記念館』は、どのような記念館ですか?
「『直木三十五記念館』は、商業施設としてだけでなく、からほりの住民文化の発信拠点となるような施設を目指して、『萌』の2階に昨年2月24日(直木三十五の命日)にグランドオープンしました。
この記念館は、直木本人が晩年に設計した家をモチーフにしており、記念館としては珍しく、直木が伏せて書く習性があったということで、お客さんにも直木の視点を感じ、ゆっくりとくつろいで頂こうと9畳の畳敷きにしています。現在の展示内容は、直木三十五の生涯年表や小学校の成績表(コピー)、写真パネルや直筆の手紙、その他貴重な書籍(個人の所有物)などが展示されています」
Q.記念館を造られるときの資金集めは大変だったと思うのですが?
「資金は、この付近の企業さんや個人の方の寄付ですね。そういうたくさんのご協力がありまして、開館することができました。
これからは、「直木倶楽部」というのを作り、会員制にして運営していこうと考えています」
Q.これからの『直木三十五記念館』をどのようにしていこうと、お考えでしょうか?
「これからも「記念館」という既成概念にとらわれず、畳敷きの居間スペースは来館者が自由に上がって、直木と同じように寝っころがったり、またレンタルスペースとしても開放し、近所の方にサロン感覚で利用してもらい、くつろいでもらおうと考えています」
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からほり倶楽部
代表理事
六波羅さん |
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歴史ある空堀に残る長屋 |
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こちらが「からほり商店街」です |
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商店街はとてもにぎわっていました |
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直木三十五の生家の屋根が
まだ残っています |
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記念館はこの建物「萌」の中にあるんです |
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直木三十五記念館にお邪魔しました |
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