今回は、東成区で人形劇活動をしていらっしゃる『東成P.C.ステーション』代表の萩本裕子(はぎもと・ひろこ)さんにお話を伺います。
松本:『東成P.C.ステーション』のP.C.ステーションとは、何の略ですか?
萩本さん(以下、萩本・敬称略):Play&Cultureの頭文字です。遊びと文化の発信地という意味で、このように呼んでいます。
松本:どういう活動をされている団体ですか?
萩本:人形劇を子どもたちに披露するといった活動をしています。
松本:『東成P.C.ステーション』が結成された経緯をお聞かせください。
萩本:もともと全国に「おやこ劇場」というのがあり、その一つとして「大阪東おやこ劇場」というのがありました。子どもと共にいろんな種類の劇を鑑賞する会で、私も12年前に入会していました。ある時、先輩の一人が子どもたちに自分たちで何か人形劇を見せてあげることができないかと提案されて、まず自分たちの子どもに人形劇を見せたいという気持ちから人形劇作りに取り組むようになりました。
松本:人形作りから始めるとなると、お金もかかりませんか?
萩本:みんなほとんど主婦なので、それぞれ持ち寄って工夫しています。わが家は繊維関係の仕事していますので、そういうものがそろっています。
松本:では、家庭にあるものを再利用して工夫されているのですか?
萩本:子どもたちの昔の服を縫い直して、人形用に作ったこともあります。ワンピースをちょっとずつ縮めたら人形にちょうど合うものになります。
松本:子どもたちが着ていた服が人形のためになるというのは、また魂を入れられるみたいでいいですね。
萩本:いろいろ利用して作っただけで、それほど深い想いはなかったのですが。
松本:人形劇といっても、あやつり人形もあれば指人形もありますが、どんなタイプの人形を使っているのですか?
萩本:「だるまちゃんとてんぐちゃん」という人形劇をした時には、棒で動かすタイプの人形を使いました。木の棒を真ん中の芯に使って、あと段ボールの芯に立体的な形でだるまを作りました。あとはみなさんもよくご存知の指人形で、親指や人差し指を入れて指で動かす人形です。
松本:いくつかのタイプの人形を使い分けて人形劇をやっているのですか?
萩本:台本を見て、どんな人形が動かしやすいかを考えます。子どもが小さいころ遊んでいたぬいぐるみの犬をそのまま使ったこともあります。また、「手袋を買いに」のくまちゃんは、手が入るようにぬいぐるみを裂いて綿を抜いて使いました。
松本:では、舞台はどんなふうに作っているのですか?
萩本:背景もみんなで作ります。タコ脚タイプの物干竿を高く組み立て、その中に新聞やスーパーの袋をいっぱい放り込んで、緑色の布をかぶせて立体的な木になるように作ったりします。これは柿の出てくる「猿カニ合戦」の舞台に使いました。
松本:創意工夫のたまものですね。
萩本:長いこと続けているので、人形劇が生活の一環となり、いつも家の中のものを何かに使えないかという目で見てしまいます。
松本:では、この茶こしは何かに使えないかとか、おタマは使えないかとか。
萩本:「だるまちゃんとてんぐちゃん」の下駄は全部かまぼこ板を切って、木工ボンドで貼りました。
松本:どのくらい練習なさるのですか?
萩本:発表の日が決まると、その2ヶ月前くらいからスケジュールを組んで、台本読みから始めます。かなり練習はしますが、みんな仕事を持っていますのでなかなか全員そろっての練習はできません。
松本:年間、何回ぐらい公演していらっしゃるのですか?
萩本:だいたい年間3、4回です。
松本:一番その中でも大きい舞台はどういうイベントですか?
萩本:夏に東成図書館主催の「夏の子ども会」というのを任せていただいています。まず最初に人形劇を30分ぐらい見せ、その後子どもたちと一緒にイベントをするのですが、ビンゴをして賞品を一人ずつあげて、あと模擬店でヨーヨー屋さんとか、型抜き屋さん、輪投げなどをしています。
松本:そういう時、どういう話を上演されるのですか?
萩本:まず、「夏の子ども会」を知っているかという話をしたり、子どもたちが静かに座って見られるように簡単な手遊びをしたりします。
松本:人形を使ってイベントの紹介をしたりするわけですね。そうすると子どもたちもおもしろいから見てくれたり、聞いてくれたりするんでしょうね。今日お話しを伺いまして非常に生活感のある人形劇で、だけど子どもたちに大きな夢を与える地に足のついた人形劇という感じがしました。これからもがんばっていただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
萩本 ありがとうございました。
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代表
萩本 裕子さん |
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人形劇リハーサル風景
(大きなカブ・クリスマスバージョン)
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人形劇本番
(大きなカブ・クリスマスバージョン)
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人形や背景の木にもメンバーの工夫がいっぱい
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「夏の子ども会」では、
たくさんの子どもたちが、
ヨーヨーつりなどの模擬店で
楽しんでくれました
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輪なげの模擬店。
輪なげの輪は広告の紙で作ったもの
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