今回は、生野少年少女合唱団の活動をご紹介します。歌は歌なんですけど、普通の少年少女合唱団とは、一味もふた味も違う合唱団なんだそうです。早速、お話をお伺いしましょう。生野少年少女合唱団を指導されています、青木弘義さんと電話がつながっています。
松本・藤原 青木さん!よろしくお願いします。
青木さん(以下:青木・敬称略) よろしくお願いします。
松本 生野少年少女合唱団は、いつごろ、どんな風にできた合唱団なんですか?
青木 1979年、今から26年前ですか。国連の国際児童年っていうのがございまして、大阪市内の全区で子ども達の育成の事業をやろうということで、生野区で合唱団を作る話がありまして、それで私のところへ指導してくれないかって持ってきたわけです。
松本 その時に募集されたわけですね。
青木 そうです、そうです。
松本 その時に青木さんが指導の方を頼まれたわけですね。
青木 断りました。
松本 断ったんですか?!
青木 私は元々、 “オーケストラ屋”なもんですから、コーラスや合唱団っていうのは、無縁のような気がしまして、丁寧にお断りしました。で、その時に、私の門下生の母親が生野区の子ども会の役員をしており、それから一年間粘られまして、とうとう一年後にこっちが根負けしまして、ひとつ条件を付けて、お引き受けしたんですよ。
松本 条件付けてというのは?
青木 普通、少年少女合唱団というと、コンクールを目的に、コンクールで入賞したり、一位、二位を取ったりするのが目的でしょ。これは教育団体なんですね。うちは演奏団体をつくろうということで、コンクールというものは絶対に考えないと。で、演奏団体にして、子ども達も楽しませ、お客さんも楽しませられるような、そういう演奏団体にしようと、その条件をのんでくれたら、引き受けるということで、お引き受けしたんですよ。
松本 この少年少女合唱団そのものについてはどうなんですか。
青木 テレビなんかでコンクールなんかに出ているのを見てますと、みんな声をそろえて、同じ口をして、で、作り笑いをして、体を適当に揺すって、あれ、どうも私あんまり好きじゃないんですね。
松本 不自然さはあるんですけど、可愛いといえば可愛いんですけどね。
青木 コンクールで受けようと思うと、あれじゃないと駄目なんですね。楽譜を正確に読んで、声を揃えてきちっと歌わないとだめなんですよ。でも子どもの自然の声っていうのは、非常に綺麗なんですね。それで好きなように歌わせて、自然に歌わせて、自由に自分の気持ちを表現するような合唱団にしたい、それが目的でした。
松本 自然の声?世間でいういわゆる少年少女合唱団は、あれは自然の声じゃないんですか。
青木 あれは頭声(とうせい)と言いまして、頭の声。それも我々プロの世界でも、いろいろ議論があるんですけど、頭声がいいか、地声がいいか、っていう議論があるんですけど、子ども達の声を揃えようと思ったら、頭声発生じゃないと、揃わないんですね。
松本 ああ、なるほどね。確かに地声だったら、みんな個性がありますからね。
青木 そうです。だから、その個性をてんでバラバラに出して、好きなようなコーラスを作りたいというのが目的でした。
松本 なるほど。そんな少年少女合唱団、ふつうにある少年少女合唱団とは違うものを作ろうという。 それで、子どもを地声で歌わせるということなんですけれども、実際に青木さんが地声でコーラスを合唱させてみて、どんな感じだったのですか。
青木 本当に素晴らしくて、私もとうとう27年間もやってしまいました。今、オーケストラやってるよりも、コーラスで棒振ってる方が楽しいですよね。時々涙ぐんだりしてね。感動しますね、子どもの声には。
松本 何が一番そこまで引きつけたわけですか。
青木 子どもの自然の声ですね。
松本 じゃあ、そのまま、そこら辺にあるような合唱団のように、いわゆる頭声、頭に抜けるような声でやっていたら、適当に終わっていたかもしれませんね。
青木 (笑)。
松本 この少年少女合唱団ですけれども、年齢っていうのは、何歳ぐらい?
青木 小学3年生から中学生までなんです。今年の定期演奏会が9月にあったのですが、いつも1部と2部に分かれまして、1部は合唱をやって2部はミュージカルをやるんですよ。今年の1部はおじさんたちに懐かしい映画音楽をやりまして、2部はチャイコフスキーの「白鳥の湖」で、踊りで芝居を入れてやりました。
松本 これからの予定というのは。
青木 とりあえず、明日10月23日、生野祭りに参加します。それから12月23日にクリスマスコンサートですね。年が明けて、2月に子どもカーニバルっていう風にずっと続いております。
松本 うわー目白押しですね。当然、これ歌う歌も同じじゃないですよね。
青木 全部違います。同じ歌は絶対に歌いません。あれしか知らないのかって言われるのが嫌でね。
松本 なるほどね。クリスマスにはクリスマス、お正月が明けたら、また子どもカーニバル、全然違う曲ですか。いいですね。子どもたちも刺激があって面白いでしょうね。
青木 子どもは天才だって言いましたように、曲全部覚えるんですね。我々には絶対に覚えられないですけど。
松本 そうですね(笑)。最後になりましたが、青木さんにとって、生野区のいいところ、こんなところが好きだ、という点は?
青木 やっぱり下町ですから、人情が厚いし、気楽で気さくでいいですよ。雰囲気がいいですね。本当に下駄履きで歩ける町ですね。
それと非常に安全なんですね。27年間、子どもの事故がないんですね。今、いろいろ子どもにあるでしょ。ああいうのが一切ないんですね。それは非常にありがたいと思っています。
松本 そんな人情味溢れて、そして子ども達も安全に暮らせるというその町の中で、ステージで輝く子ども達を指導する・・・というか、今や青木さんの方がハマってますからね。
青木 完全にはまってます(笑)。
松本 これからも指導の方、よろしくお願いします。
松本・藤原 今日はどうもありがとうございました。
青木 ありがとうございました。
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生野区少年少女合唱団
代表
青木 弘義さん |
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クリスマスコンサート |
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第26回定例演奏会 第1部 |
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生野区紫陽花まつり |
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生野音楽まつりでは、花笠音頭で入場 |
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弘義門下生合奏団 青木弘義編曲指揮によるビバルディ「四季」全曲 |
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定例演奏会 第2部「白鳥の湖」 |
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5月「生野区紫陽花まつり」 |
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琵琶湖へ合宿 |
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琵琶湖合宿ですいか割り |
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