濱田さん(右)、田中やんぶさん(中央)と
難波宮史跡公園で

 7月28日、なにわの日に「難波宮(なにわのみや)フェスタ2010」が開催され、その様子は7月31日の放送でご紹介しました。このイベント、昨年まで大阪市中央区の難波宮史跡公園が会場でしたが、今年は暑さを避けて大阪歴史博物館などで開催。そのため難波宮史跡公園では11月28日に「難波宮おおそうじ〜ふれあいクリーン大作戦〜」が行われることになりました。今週は、開催を前に主催するNPO法人OSAKAゆめネットの濱田容子所長にお話を伺いました。
 なぜ掃除をすることになったのか?この公園は国の史跡に指定されている、都会の中の貴重な歴史的文化遺産であり、それを大切にしようという機運が生まれ、みんなで掃除をしようということになったそうです。その一方で、清掃活動好きな皆さんに大阪の歴史に目を向けていただくきっかけになればという狙いも。大阪人でも、645年に飛鳥からここへ都が移され、大化の改新の舞台となったことを知らない人や、難波宮を「なんばきゅう」などと読む人がまだまだ多いので、そういう皆さんにも平城京より古い都である難波宮のことをぜひ知っていただきたと濱田さんは願っています。
 当日は、11時10分から1時間ほど清掃した後、午後1〜4時にはステージとワークショップを開催。ステージは、子供ダンスサークル「たまこげクラブ」のダンス、パッサド・アバエテ・カポエイラ(ブラジルの武術をベースにした踊り)、南中ソーラン(100人規模)、なにわ伝統野菜応援団の団長・森下正博さんによるバイオリン演奏、福ちゃんのアコーディオン演奏、音太小屋によるフォークソング、夢乱舞による関西よさこいが行われます。

ここに今でいう皇居があった

 ワークショップは、大阪自然環境保全協会による緑の探検隊、大阪城甲冑隊による段ボール製甲冑姿での撮影、音夢ネットワークによる琴の体験、NPO法人いちょうコンソーシアムによる難波宮の歴史に関する展示と難波宮歴史ミニツアー、大阪文化財研究所による「考古学におけるごみの意味」という展示、さらには、A-yan!!関西をアートで盛り上げるNPOによるギネスに挑戦が行われます。
 一体、何に挑戦するのか、A-yan!!関西をアートで盛り上げるNPOの田中やんぶ代表にも伺いました。それによると、今回はペットボトルを使って巨大な「うんこちゃん」作りに挑戦するとのこと。ごみ拾いで集めたペットボトルを針金で数珠繋ぎにしていき、とぐろを巻いたものを制作。ギネス記録では3万個を使ったモザイクアートがあるそうで、その数字を上回るのが目標とのことです。やんぶさんによると、必要不可欠なトイレ跡が難波宮では発見されておらず、それに絡めてトイレの大切さについて参加者に話しながら進めたい。また、今の小学生の中には、いじめられるのを恐れて学校で「うんこちゃん」をしない子がいるとのこと。「みんなでうんこできたらいいなあ」なんていう話もできればとのことでした。
 なお、難波宮おおそうじは、誰でも無料で参加できます。軍手やごみばさみも用意されているため、手ぶらで掃除にも参加して欲しいとのことです。

大村益次郎殉難碑

 お話を伺った後、濱田さんに周辺の歴史ポイントに連れていっていただき、散策を楽しみました。やんぶさんも一緒です。
 最初に訪れたのは、史跡公園の南西にある「大村益次郎殉難碑」。高さ6〜7メートルもある大きな碑です。大村益次郎は幕末から明治維新にかけて生き、蘭学、医学、兵法を学び、とくに兵法に優れて陸海軍の父と呼ばれた歴史上の人物。大阪の適塾に入ってわずか1年で塾頭になった逸材で、京都で海軍や陸軍の基礎を作りましたが、不平士族の反感を受けて襲撃され、右脚に重傷を追いました。京都では適切な治療を受けられなかったため、この碑の近くにあった浪華仮病院で右脚切断の手術を受けたものの、すでに手後れで敗血症のため45才の生涯を閉じました。
 これほどの人物ですが、なぜかこれまで歴史ドラマにはあまり登場してきていません。「龍馬伝にも出てきませんでしたが、何かしでかしはったんでしょうかね?」とはやんぶさん。

法円坂建物群

 次に訪れたのは大阪歴史博物館前広場。そこにあったのは5世紀に造られた倉庫の復元物でした。平成元年、大阪市政100周年の際に建てられた総ヒノキ造りの建物で、屋根は淀川のヨシでふかれています。費用は1億円で、広さは90平米あるそうです。645年に出来た難波宮より100年ほど前、この周辺には大型高床建物群が造られ、16棟の遺構が発見されていますが、これはそのうちの一つを再現したものです。
 濱田さんはもちろん、やんぶさんも入ったことがあるそうで、中は何もないものの、思った以上の広さを感じる空間だそうです。なお、毎日、午後3時から大阪歴史博物館の学芸員による解説があり、中に入ることができるとのこと。無料でツアーに参加するkとができます。

大阪府史跡の「舎密局跡

 最後は、大阪府警本部南西角近くにある大阪府史跡の「舎密局(せいみきょく)跡」。まず目を引くのは、やんぶさんが「バースかと思った」という外国人の胸像。濱田さんによると、この人はK.W.ハラタマ博士というオランダ人。舎密とは、オランダ語で理化学を意味するChemieのことで、舎密局は明治2年に開講した大阪で初めての公立学問所なのだそうです。そして、オランダから招かれたハラタマ博士も、ここで教鞭を取っていたそうです。
 その後、学制改革などで名称が変遷し、明治22年には京都へ移って、旧制第三高等学校、今の京都大学へとつながっていきました。

■難波宮おおそうじ〜ふれあいクリーン大作戦〜
2010年11月28日(日)午前11時〜午後4時開催
場所:難波宮史跡公園北西一帯とその周辺道路
*雨の場合は規模を縮小して開催、荒天の場合は12月5日(日)に延期