長福さんと(エフ・エーさろん2Fで)

 下の子が熱を出したので医者に連れていきたいけど、上の子を一緒に連れていけない、困ったなあ・・・そんな時、隣の人が上の子を預かってくれる、そういうことは昔、当たり前のように行われてきました。それを有償ボランティアという形でよみがえらせたのが、NPO法人エフ・エー(ふれあい あべの)です。 理事でコーディネーターの長福洋子さんは、大阪の総合病院でメディカル・ケースワーカーをしていた時期、退院していった患者さんがせっかく日常生活に戻っても、その生活ぶりに問題があるとまた病気になってしまうもどかしさを感じていました。例えば、糖尿病が改善して退院しても、一人暮らしの男性だと以前と同じような食生活をしてしまい、また具合が悪くなって入院してしまうケースが多くあります。長福さんはそんな人たちのために配食サービスを考えていましたが、地域の人同士による助け合いの仕組みに出会い、94年12月、8人で「ふれあい あべの」をスタートしました(NPO法人化は99年)。
 エフ・エーは、有償ボランティアによる相互扶助の仕組みを採用しています。助けを求める人も、助ける人も、まずは全員が会員登録をします。費用は年間2000円。そして、助けが必要な場合にエフ・エーに連絡すれば、長福さんのようなコーディネーターが適任者を会員から選んで依頼してくれます。この場合、頼んだ人は1時間あたり600円の利用料を支払い、頼まれた方は謝礼として600円を受け取ります(交通費別途)。1時間600円という額は大阪府の最低労働賃金を下回り、エフ・エーを通じてのこうした活動はボランティアとして厚生労働省から認められています。なお、現金ではやりとりしにく人もいるため、エフ・エーが発行するチケットでやりとりをしています。

エフ・エーさろん

  時には助ける立場、時には助けられる立場と変化する会員もいて、相互扶助の精神が息づいており、助ける立場になってもお金が目当てではありません。しかし、無償だといつもいつもはお助けを求めづらいもの。また、助ける方も無償だと相手から恩義を感じられてしまって負担になることも。助ける立場、助けられる立場、双方にとってメリットがあるため、有償ボランティアを採用しているのです。現在、会員は147名。
 600円をそのままやりとりしているため、エフ・エーは利益を上げていません。通信費や人件費など発生する経費は、とても寄付や会費だけではまかなえません。そこでエフ・エーは介護事業を手がけ、ヘルパーを派遣して利益を出し、それで有償ボランティア事業を成り立たせています。
 エフ・エーは高校生以上なら会員になれるため、高校生から70代の高齢者が登録していますが、悩みはやはり助ける方の会員が不足していること。現在、最もその面で活躍しているのは70代の元気なおばあちゃんたちだそうです。

エフ・エーさろん内部

 

 ところで、今回、お話を伺ったのは「エフ・エーさろん」という2007年12月にオープンした施設。あべの王子商店街にある2階建ての空き店舗(古い民家)を買い取って使用しているのですが、1階は誰でも無料で自由に利用できるスペースとして提供、ドリンクが欲しい場合も100円で飲み放題(飲食物持ち込みもOK)としています。長福さんがこうした施設を造ろうしようと決意したのは、コーディネート業務の中で高齢者同士の交流の必要性を感じたため。蛍光灯が切れたから換えてほしい、上の方にある物を取ってほしい、といった「ちょっとした」ことでもボランティア依頼が来るため、近隣同士で交流していただき、ボランティア依頼する以前の日常的な助け合いでやっていける範囲を増やそうとしたのです。
 このエフ・エーさろんは大変よく利用されていて、朝から長時間過ごす高齢者も。今日はどこの店のどんな商品が安い、といった情報交換の場ともなっているようです。
 なお、この民家を再生させたのは、当番組でもおなじみ、からほり倶楽部の六波羅雅一さん。予算不足だったため、六波羅さんに方法だけ教えていただいて、会員自らが工事をした部分も多いそうです。

六波羅雅一さんの手になる作品

 エフ・エーさろんでは、イベントも行っています。さをり織り教室、懐メロさろん、映画会、うたごえ喫茶など色々ありますが、今年の4月から新たに始まったのが「あべのdeええやん」というシリーズ。6月は18日(金)の午後7時〜、阿倍野王子神社・阿倍野晴明神社宮司の長谷川靖高さんを招き、夏祭りの今昔を王子神社の歴史とあわせてお話しいただくそうです。参加費はワンドリンク付で500円。昭和30年代の夏祭りを記録したDVDの上映もあるそうです。