おもちゃ図書館で遊ぶ子供たち

 大阪市都島区に生まれ育った柳生久理子さんは、地元主婦が情報発信する都島情報「都路区.com」の代表。その活動の中で、2006年に子育てサークル「mamaコム」をつくりましたが、それが今ではNPO法人として“独立”。かつて美容院だったスペースを安く提供してもらって開設した「manapark」を拠点に、色々な事業を展開しています。
  例えば、この4月からは「おもちゃ図書館」をスタート。日本おもちゃ図書館財団からの補助金で購入したり、寄付をしてもらったりしたおもちゃを、誰でも無料で利用できるようにしています。オープンしているのは毎週月曜日の10時から12時までですが、それ以外の時もスタッフがいれば利用できます。柳生さんによると、公園デビューする前の2歳ぐらいまでの子供に、特に利用してほしいとのこと。その時期に孤独になりがちなお母さん同士の交流の場にもなればと考えています。

昔ながらの積み木や
説明書なしでも遊べるおもちゃが中心

 この日が初めての利用という櫟本(いちとも)亜里さんは、2歳半の男の子を連れて来所。普段は公園や都島区子ども・子育てプラザなどに行っているが、おもちゃがあまりないので、子供におもちゃを買い与える前にここで遊ばせ、購入するものを決めようとやってきました。木のおもちゃは高価なので、ここで満足してくれれば買わなくてすむかも知れないとのほのかな期待もあるようでした。電動のおもちゃにはちゃんと電池が入れてあり、友達もできそうだと、すっかりお気に入りのご様子。
 一方、プラレールに夢中の4歳の男の子のお母さんである岡田恵美さんは、manaparkに来るのは数回目という。おもちゃ図書館の他にも、不要になった服やおもちゃをポイント制で物々交換できるシステムも利用しているとのこと。ここは友達がつくれ、情報交換ができる場であり、今後も利用したいとのことでした。

代表の柳生さんも子育て中
左は長男・裕乃進(小3)君

  

 mamaコムは、おもちゃ図書館以外にも色々な事業をしています。多くの絵本をそろえ、それも無料で利用できるようにしている上、読み聞かせなども開催しています。
 manaparkの外での事業も人気。小学生を対象に夏休みに実施しているキッズコムは、子供達に都島区.comの記者になってもらい、地域の色々なところを取材してもらうもの。例えば昨年は、ベルファ都島ショッピングセンターや都島警察署、生花店などを訪ね、普段は見ることができないところも見せていただいたとのこと。子供達は、練習をした名刺交換をきっちりし、本格的な一眼レフカメラを片手に取材に挑みました。記事は、インターネットのホームページにして公開するとともに、夏休みの宿題としても使ったということです。
 また、10月31日にはハロウィーンナイトを開催。30店の協力店にお菓子を事前に渡しておき、親子で仮装した参加者がそれをもらいに行くというものです。100組200名の参加親子は、マップで対象店を探し、Trick or Treat (お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!)と言ってお菓子をもらったそうです。協力店側も、普段、お世話になっている地域への還元のチャンスだと理解し、お菓子代を協力してくれたため、参加費以上のものが手に入ったと、みんな大喜びだったそうです。遠くは宝塚からも参加されたとのこと。もちろん、今年も開催予定。

  
manaparkは地下鉄都島駅すぐ近く
 

 直近での大きな事業は、7月19日にベルファ都島ショッピングセンターの中央モールで開催する「キッズコレクション」。イメージとしては「東京ガールズコレクションの子供版」とのことですが、携帯電話で登場した服を買えたりはしないそうです。メインは、地元美容室のボランティアにより行われる子供たちへのヘアアレンジとメイク。昨年も、子供達は大喜びで登場し、ファッションモデルよろしくポーズをとっていたそうです。
 都島生まれの都島育ちという柳生さんは、子供達にこの都島で楽しい思い出をたくさんつくってもらい、都島を、地域を好きになってもらえれば何よりと話しています。都島生まれの都島育ちという柳生さんは、子供達にこの都島で楽しい思い出をたくさんつくってもらい、都島を、地域を好きになってもらえれば何よりと話しています。
  なお、 柳生さんは都島区.comとmamaコムの代表を務めるほか、今年から「大阪あそ歩」のガイドも始めました。コースは「妖怪〈ぬえ〉が眠るまち・都島」で、大江山の酒呑童子退治や羅生門の鬼の腕を切り落とした勇将・渡辺綱が愛馬をつないだ「駒つなぎの楠」や、平安時代、近衛天皇を苦しめていた鵺(ぬえ)の遺骸が京都から流れ着いたという摩訶不思議な伝承を持つ「鵺塚(ぬえづか)」などを巡ります。