たまこげクラブの練習風景

 たまこげクラブは、大阪市中央区の子供ダンスチームで、「たまつくりどもんきクラブ」を縮めた呼び名。代表の石井直子さんが、最近の若い人が何でも縮めて呼ぶので、その時にインパクトがあって覚えやすい名前がいいだろうと考え、名付けました。
  大学卒業後、成人体育の仕事をしていた石井さんは、元々子供を教える気がなかったのですが、25年ほど前に地域の女性たちを対象にしたエアロビクス教室を開催していた際、自身の子供や習いに来ている女性の子供たちが待っている間に遊びはじめたため、アンパンマンの曲を流し、遊戯のようなことを教えはじめました。
  ダンスの難しい技術を教えるより、音楽を楽しみ、体を動かすことを楽しむをモットーに、鉄棒や縄跳び、尻尾取りゲームなどをしていく中、子供たち自身が、もっとダンスをしたい、コンテストにも出てみたい、ライトを浴びて踊ってみたい、と要望するようになり、年齢が高い子を中心に本格的にダンスを教えるようになって、今日にまで至ったそうです。

代表の石井直子さん

 当初は幼稚園児が中心だったのですが、メンバーが成長し、新たに小さな子も加わってきたため、今では2版に分けて教室を開催。小さな子が中心の教室では、隣の公園での鉄棒から始まり、室内での縄跳び、マット運動など、体を動かすことをメインにして、ダンスは1時間中20分程度。曲はディズニーなどのアニメソング。一方、7〜13才までの子がいるもう一つの教室では、ストレッチや器械体操的な運動、バレエのような動きをし、ダンスをたっぷりと練習します。曲も、AKB48など今はやりのものを子供たちのリクエストに合わせてかけています。
 人見知りしたり引っ込み思案だったり、怒られて萎縮した経験ある子なども、 この教室に通いはじめるとのびのびと積極的になるとのこと。年齢による縦関係を作ろうとせず、かといってできる子ができない子に教えたり、リーダーシップを発揮する子が現れたりと、子供たちの間での素敵な人間関係が出来上がっているそうです。

器械体操のような動きもへっちゃら

 メンバーは玉造を中心とした地域の子供たちですが、練習だけでなく、地域の人の前で踊ったり、地域外に出たりといったことにも積極的な石井さん。必ず年に1回は発表会を行い、地域の祭りや文化のつどいといったイベントにも出ているそうです。子供たちも、ライトを浴びて踊り、拍手をもらう体験を一度でもすると、やる気がわいてきて、やみつきになるほどという。ライトを当ててもらわないと嫌という感じになるほどで、緊張もまったくしないそうです。
  一方、身ひとつで踊れるのだから色んな人にも見てもらいたいとの思いから、高齢者施設にも出かけ、踊り、触れ合うことにも取り組んでいます。最近行ったところでは、華やかな舞台と違い、ライトもなく、100人のお年寄りにすぐそばの距離で囲まれ、寝たきりに近い方や車椅子の方もいて、さすがに子供たちも最初は緊張気味だったとか。途中からやっと乗ってくると、今度はお年寄りから何かが飛んできてびっくり。子供たちは石を投げられたかもと勘違いしたそうですが、50円玉をディッシュで包んだ「おひねり」であることを知った石井さんが「お金やで、もうとき」と叫ぶと、大爆笑がわきあがったそうです。自分たちの踊りで誰かがよろこんでくれる、という貴重な体験をした子供たちも感動したようです。

チームの名の通り
子供たちはみんな元気で明るい

    

 他の地域の子供たちとの交流は、大阪市のイベントであるこどもフェスティバルに参加することなどで行っているとのこと。また、ダンスだけでなく、演劇など他のことをしている人とも、大人、子供を問わずにステージを通じて交流したいと思い、機会があれば参加。自分たちの発表会への参加も呼びかけています。
 今年は、7月28日の「なにわの日」に開催される「難波宮フェスティバル」への参加も決定。日ごろ、遊び場にしている難波宮跡公園に、その昔、都の中心施設があったこと、そこで人々がどんなことをしていたのかを子供たちにイメージしてもらい、大阪市立歴史博物館にも勉強に行ったりして、それにちなんだオリジナルダンスを舞いたいと石井さんは考えています。
 さらに、12月には、30人のチームにしては少し大きめのホールを借り、 幅広く一緒にステージに上がってくれる皆さんを集めて、発表会をしていくことも計画しているそうです。