濱田容子さん(繁盛亭前にて)

 「ピピッとおおさか大発見!」に登場した皆さんが中心となってつくる「大阪ひと・まち魅力発見事業推進会議」が、3月22日、交流イベント「なにわ自慢〜おおさか春のまちめぐり」を開催します。実施されるのは全部で3コース。ガイドは 「OSAKAゆめネット」や「大阪案内人」、北区ガイドボランティアの「ヤジ馬ヤジ北」の皆さんが担当します。
 今回は、 3コースのうちの2コースについて、その一部を“つまみ食い”して歩くことにしました。案内は「OSAKAゆめネット」所長の濱田容子さん。3コース設定のコーディネイトを担当したという濱田さんは、大阪にはレトロな建築物などの景観資源があり、それを生かしたコース作りをしたとのこと。大阪には、大正末から昭和にかけて大大阪という日本一の都市だった時代があり、その頃に造られた建物が今も残っていますが、中之島、北区、北船場はその宝庫。しかも民間が建てているものばかりで、民の力、フロンティア精神の歴史を感じながら歩いてもらいたいと、今回の見どころを語ってくれました。


三菱東京UFJ銀行天満支店

1.天神さんと洋館めぐりコース:大阪天満宮→天満天神繁盛亭→三菱東京UFJ銀行→フジハラビル→与力門→造幣局→泉布館

 “つまみ食い”は、上記のコースのうち、2番目の繁盛亭からスタート。その次に訪ねたのは、松屋町筋の天満橋北にある三菱東京UFJ銀行天満支店です。ここは、山口吉郎兵衛という豪商が作った山口銀行の北支店として、昭和5年に建てられました。今も残る「軒蛇腹」が珍しいものの、かつて壁面を覆っていたスクラッチタイルは残念ながら改築時に外されました。設計は片岡安。日本近代建築の創始者、辰野金吾と共同で事務所を設立した大阪建築界の重鎮で、大阪工業大学の学長も務めました。
  なお、山口銀行は、 三十四銀行、鴻池銀行と合併して三和銀行となり、その後。三菱東京UFJ銀行になりました。


フジハラビル

 東京三菱UFJ銀行のすぐ近くにあるのはフジハラビル。大正12年に食品会社の本社ビルとして建てられましたが、現在のオーナーが自らの手で修復をし、今はギャラリーやショップなどのテナントビルとして使っています。壁に残るスクラッチタイルに取り付けられた果物の飾り、石造りのエントランスや華麗なドア、窓枠に設置された動物のオブジェなど、見どころもいっぱいです。ツアー当日は、オーナー自らが説明してくれる上、建物の中も案内してくれます。


大阪倶楽部

2.北船場ぶらり散歩コース: 住友ビル→大阪倶楽部→芝川ビル→青山ビル→高麗橋野村ビル→大阪証券取引所

 まるでヨーロッパの街角のような右の写真は、淀屋橋近くにある大阪倶楽部。ここは北船場を巡るコースで2番目に訪ねるポイントです。ここからは、北船場コースのガイドをする冨増由起子さんに案内をお願いしました。
  この建物は、大正13年に安井武雄の設計により建てられました。英国風の建物の中に、トーテムポールのような東洋風の飾りや、窓のスペイン風花台、ステンドグラスなど、色々なものが取り入れられているのが特徴です。クラブ形式なので管内へは男性会員しか入れませんが、講演会や食事会などは女性でもOK。何度か入ったことがあるという冨増さんによると、部屋ごとに異なる英国風のインテリアがすばらしく、可愛い噴水のある玄関も魅力的とのこと。


青山ビル
             

 次に訪れたのは中央区伏見町にある青山ビル。輸入食料品店等を経営していた野田源次郎が、べルサイユ講和条約の為に渡欧する西園寺公望に同行し、ヨーロッパで色々な建物を見て建てたいと思ったものを、帰国後の大正10年に造ったスパニッシュ風の私邸。GHQ接収を免れた戦後は貸事務所としました。
  外装は先代が株分けしてもらった甲子園のつたに覆わていて、雰囲気満点。中にもねじり細工の手すりがある階段やステンドグラスがあり、見どころが多い建物になっています。

 

高麗橋野村ビル

 最後は高麗橋野村ビル。この建物も安井武雄の手になるもので、大阪倶楽部、高麗橋野村ビル、大阪ガスビルの順に設計をしたため、三つを比べて見てみると、大阪倶楽部と大阪ガスビルの魅力を併せ持った魅力が感じとれるそうです。階階ごとに使われている瓦や、大阪倶楽部のトーテムポールの代わりに設置した木を表現した飾りなど、和風と洋風をミックスした安井の特徴を見ることができます。

 なお、もう一つのコースは大阪案内人の西俣稔さんが案内する大正区のコースです。
3.大正区などを歩き新田開発と沖縄の文化を学ぶコース:
三軒家→大正橋→桜川跡→汐見橋(南海汐見線乗車:各自負担)→津守駅下車→紡績工場跡→西成高校→落合上の渡し(渡船)〜千島→昭和山→関西沖縄文庫
*オプションで琉球舞踊や沖縄料理を楽しむ交流会

どのコースも参加費は500円(保険、資料代)です。
詳しくはチラシをご覧ください→春のまちめぐりチラシ