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古代、朝廷に食料を献上する御食国(みけつくに)の一つだった若狭から、海産物を京都へと運んだ「鯖(さば)街道」。実は奈良や丹波篠山、滋賀の各地へ通じる道もありました。もっともよく知られる京都へのルートは、福井県上中町の熊川宿を通り、滋賀県朽木村を下って、大原や八瀬を経て京都に入
る、一八里(約72km)の道です。サバやタイ、米やタバコ、鉄といった物資だけでなく、軍事の道であり、また文化を運んだ道でもありました。今も、若狭の言葉が近畿の方言に属し、熊川宿の「鉄扇踊り」のように祭りの行事や歌、踊りなどに京都の影響が見られます。 天秤棒や背負いで荷を持ち小浜を朝6時に出ると、昼ごろには熊川宿に到着。ここで今津や朽木へ荷を運ぶ人に引き継ぎました。今津からは琵琶湖を船で行くルートもあり、熊川宿は水路にも陸路にも便利な中継点として栄えたのです。熊川宿は国指定の重要伝統的建造物群保存地区。街並みがよく保存されています。 |
市場商店街(朽木村)
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朽木村にて
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朽木村にて
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朽木村の「市場商店街」には、趣のある古い家並みが残っています。朽木藩の城下町が近く、その供給基地として「市場」の名が付けられたようです。
当時、小浜や熊川を経て朽木に入り、行商をしながら京都へ向かう人たちが多くここを通りましたが、終戦後までそんな姿が見られたそうです。昭和8年に出来たモダンな3階建て木造建築「丸八百貨店」もあり、中では特産品販売所や飲食店、書店などが営業、無料休憩所もあります。国の登録文化財に指定され、鯖街道の拠点として親しまれています。 大津市の花折峠を越えればもう京都ですが、峠の少し手前(北)には鯖街道「花折」という鯖寿司の有名があります。分厚く脂ののった味は他では食せません。鯖街道の旅を締めくくるにふさわしい逸品です。 |
朽木村にて | 鯖街道「花折」 | 花折の鯖寿司は分厚く脂ののった味 |
近畿道ものがたり取材アルバム 道でたぐる想い出の糸