このエリアの地図を見るボタン
京都府の地図を見るボタン
圓通寺の借景式庭園 3段の滝の音がすばらしい(寂光院)

上善寺、鞍馬口地蔵
 京都市北区鞍馬口通寺町の上善寺には、京都六地蔵の一つ「鞍馬口地蔵」があります。六地蔵は、天上道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六道を輪廻転生して苦しむ人々を救おうとした地蔵菩薩が、それぞれの世界に姿を現したもので、平安時代、小野小町の祖父の小野篁(たかむら)が一木から彫りあげたものといわれています。
 上善寺から東へ行き出雲路橋西詰に来ると、「鞍馬口」の石碑があり、牛若丸が天狗相手に修行した「鞍馬街道」が始まります。ここから大原へは、国道367号を通って八瀬を経由するのが一般的ですが、文治2年に後白河法皇が寂光院へ行幸した「大原行幸」の道をたどり、鞍馬街道から静原経由で向かえば、一味違った道行が楽しめます。

鞍馬口の道標 出雲路橋から見る大文字山 賀茂川(出雲路橋より) 鞍馬街道

 左京区岩倉の圓通寺は、比叡山を背景にした枯山水の借景式庭園が有名。コケの中に石が配され、生け垣や杉、ヒノキの向こうに比叡山の姿を借りる“借景”は格別です。江戸初期に後水尾(ごみずのお)天皇により離宮として建てられ、修学院離宮の前身となりました。借景式庭園の手法は中国発ですが、ここは水脈に乏しかったため中国的思想が芽生えず、豊かな水と眺望のある比叡山の麓に修学院離宮が造営されました。ここは、その後、天皇の施入(せにゅう)で寺院となり、今日に至っています。

圓通寺 圓通寺 静原

 のんびりした里の風景が広がる静原を過ぎ、江文峠を越えるとそこは大原。後白河法皇は、この地の寂光院へと行幸しました。入口から山門への石段は、秋になるともみじに囲まれ、500年前に造られた池には、3段の滝が音楽を奏でるかのような音をたてて落ちています。この寂光院の第3代住職は、平清盛の娘・建礼門院徳子。里人が建礼門院に漬物を献上している姿を見て、阿波内侍(あわのないし)が作ったのものこそ「しば漬」です。その後、大原の代表的な特産品になりました。

寂光院への参道 寂光院 寂光院前のしば漬店

 

近畿道ものがたり取材アルバム 道でたぐる想い出の糸