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石山寺の多宝塔(国宝)と巨大な石
紫式部が源氏物語をひらめいた、月の名所。

 京滋バイパス石山インターにほど近い石山寺。仁王像が出迎える東大門をくぐり、トンネルのように続くもみじを抜けると、あちこちに独特な形をした大きな岩があります。これが「石山」の由来とのこと。奈良時代、聖武天皇の勅願寺として建立されたこの寺の本尊は一面二臂(ひ)如意観音菩薩で、一丈六尺(約5m)のそのふくよかな姿を見せるのは33年に一度だけ。しかし、2002年は開基1250年のため特別に扉が開けられ、その姿を拝むことができました。本堂、日本最古で最美といわれる多宝塔、お経など、多くの国宝や重要文化財があるお寺でもあります。

東大門から続く「もみじのトンネル」 石山の名の由来となった石 天平時代にできた池
東大門から続く「もみじのトンネル」 石山の名の由来となった石 天平時代にできた池

石山寺本堂(国宝)
石山寺本堂(国宝)
 平安時代の日本は観音信仰が盛んで、奈良の長谷寺、京都の清水寺とこの石山寺が「三観音」として有名でした。都の貴族にとって、奈良は遠く、清水は地元。そこで、琵琶湖もあって物見遊山を兼ねてお参りのできる「石山詣」を盛んにしました。源氏物語の作者である紫式部もその一人。天皇の叔母君にあたる選子内親王から、自分が仕えていた上東門院彰子を経由して物語の執筆を依頼された彼女は、十五夜の時期である1004(寛弘元)年8月15日ごろ、いいものが書けるようにと石山詣をして、御籠(おこもり)部屋に七日七夜こもりました。そして、部屋の東の花頭窓から見える近江八景の一つ「石山の秋月」を眺めるうちに源氏物語をひらめきました。

 

33年に一度だけお姿を見せる本尊 紫式部が源氏物語をひらめいた御籠部屋 月見亭
33年に一度だけお姿を見せる本尊 紫式部が源氏物語をひらめいた御籠部屋 月見亭

 石山寺から瀬田川沿いを北へ行くと、「瀬田の唐橋」があります。この橋は昔から交通の要衝だったため、戦でいく度も落とされましたが、その美しさは不変。ここから見る「瀬田の夕照(せきしょう)」もまた近江八景の一つで、見事な夕日がこの橋を染めあげます。瀬田川の東の道は「夕照の道」と呼ばれて、カフェやレストランが並ぶ人気スポットにもなっています。

石山寺から見る瀬田川の風景 瀬田の唐橋 「瀬田の夕照」は屋形船でも楽しめる
石山寺から見る瀬田川の風景 瀬田の唐橋 「瀬田の夕照」は屋形船でも楽しめる

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近畿道ものがたり取材アルバム 道でたぐる想い出の糸